2016年度生態学会中部地区大会 
2016年12 月4 日(総会及び大会): 三重大学環境・情報館

【総会】

・出席者:松尾奈緒子・木佐貫博光・鳥丸猛・浅見崇比呂・大塚俊之・吉竹晋平・宮澤裕太郎・戸祭森彦・和田直也(以上9名)

・報告事項として,助成金活動が紹介された。今年度は,4件の応募があり,厳正なる審査の結果,以下に示す2件の研究課題が採択された。

1)「風媒の雌雄異株植物の開花戦略:開花パターンの性的二型性とそれが生じるメカニズムの解明」松久聖子(神戸大・院・人間発達環境D3)

2)「クスノキ科クロモジ属雌雄異株低木アブラチャン(Lindera praecox)とシロモジ(Lindera triloba)における送粉者の種間・性差が繁殖成功に及ぼす影響」徳本 雄史(名古屋大・院・客員研究員)

・会長の和田直也より,平成28年11月28日現在までの会計報告があった。引き続き平成29年度案が示され了承された。

・大学院生や若手研究者等を対象とした研究助成制度案が示され,次年度も引続き実施することが了承された。「その他注意」の中で、地区大会に参加できない採択者にはウェブでの公開を前提とした報告書の提出を義務付けることにした。

・中部地区会費については,次年度も徴収しないことで意見が一致した。

・次年度で任期を迎える地区会長について,岐阜大学の大塚俊之氏が選出され、満場一致で就任が決まった。庶務幹事の選出については、次期地区会長に一任することになった。 

・総会終了後,研究発表会(13:15〜17:15)が行われた。参加者は100名であり,2題の口頭発表と44題のポスター発表があった。発表プログラムは以下の通りである。


【講演】

1)招待講演「紀伊半島の森林とその保全 ―三重県下の森林植生に関する事例を中心に-」武田明正(三重大学名誉教授)

2)招待講演「四日市メガソーラー建設予定地の里山丘陵湿地帯に生息する絶滅危惧動物について」植村明也 (四日市西高校非常勤講師)


【ポスター発表】

1)「マングローブにおける葉の被食量の推定」○荒井秀・大塚俊之(岐阜大)

2)「狭山丘陵における外来種キタリスの多細胞性寄生虫について」叶山泰裕・〇荒谷框人(富山大)・林典子(森林総研)・酒徳昭宏・横畑泰志(富山大)

3)「分解速度はリターの多様性によって変化するのか〜冷温帯落葉広葉樹林におけるササリターの影響〜」○浅井千由希・吉竹晋平・大塚俊之(岐阜大)

4)「Comparative study of dissolved nitrogen concentrations at urban and rural forests in Gifu Prefecture」○Cao R., Chen S., Yoshitake S., Ohtsuka T. (Gifu Univ.)    

5)「The variability in concentrations and fluxes of dissolved organic carbon in water fluxes of a cool-temperate broad-leaved deciduous forest in central Japan」Chen S., Yoshitake S., Ohtsuka T. (Gifu Univ.)

6)「DNAバーコーディング法を用いたアカネズミの植物性餌資源の網羅的推定に必要な個体数の検討」○藤井太一・川本宏和・白子智康・南基泰(中部大)

7)「松名瀬干潟におけるマキガイイソギンチャクとそれに共生する腹足類の分布特性」○後藤理・木村妙子(三重大)

8)「豊田市逢妻女川・男川におけるミシシッピアカミミガメの市民との共働による防除の試み」○浜崎健児・山本大輔・山本敏哉(豊田市矢作川研)・田村ユカ(名大)・村山恒也(自然研)・矢部隆(愛知学泉大)・戸田光彦(自然研)・早川 匡(豊田市矢作川研)

9)「シカ・イノシシによる農作物被害のモデル化」早川雄也(三重大)・山端直人(三重県農業研)・大野 研(三重大)

10)「アズマモグラのミミズ摂食速度に影響する要因」〇氷見公一・鈴木茂信・井出哲哉・岩井美咲子・加茂川千枝・清水智央・吉村和倫・横畑泰志(富山大)

11)「島嶼環境の違いはリュウキュウマツの幹肥大生長にどう影響するか」○飯島 友(千葉大)

12)「近代化産業遺産「愛岐トンネル群」におけるカメラトラップ法で確認された哺乳類相」○金子奈央・藤井太一・南基泰(中部大)

13)「Googleの地理空間情報を用いた竹林の健康診断は可能か?」○河合洋人(NPO法人竹人)・横内茂(名城大)

14)「林床植物イチヤクソウの共生菌への依存度は生育環境(被陰・殺菌剤処理)によって変わるのか」○河合将生(三重大)・谷川東子(森林総)・松田陽介(三重大)

15)「イノシシの遺伝的組成変化に基づく分集団の拡大プロセス」○城戸咲恵・村瀬香(名市大)

16)「山地渓谷林における樹木の要因別死亡幹と新規加入幹の立木位置の地形的特徴と林冠状態」○木村純也・鳥丸猛・万木豊・木佐貫博光(三重大)

17)「東海地方の海岸クロマツ林内土壌に生息する線虫の群集構造解析」○北上雄大(三重大)・神崎菜摘(森林総研)・松田陽介(三重大)

18)「タイ北部の落葉性チークにおける展葉期の形成層活動」〇小西雄登・松尾奈緒子(三重大)吉藤奈津子・高梨聡・藤原健(森林総研)・田中延亮(東大)・五十嵐康記(名大)・Chatchai Tantasirin(カセツァート大)

19)「金華山常緑広葉樹林における土壌呼吸量の空間変動」○國枝秀・大塚俊之(岐阜大)

20)「風媒・風散布の雌雄異株植物スイバの花序構造:性的二型性とメスのジレンマ」○松久聖子・丑丸敦史(神戸大)

21)「カタツムリ専食ヘビにおける捕食行動の多様性」○宮澤裕太郎・浅見崇比呂(信州大)

22)「三重県鳥羽市菅島および日本各地のイブキジャコウソウの形態比較」○水野隆文・中原悠介・畑中良規・藤森朝章・安井 瞭(三重大)

23)「Subpopulation dynamics and habitat preference of wild boar revealed by statistical modeling using population genetics and space-time information」○Murase K., Kido S. (Nagoya City Univ.)

24)「雌雄異株性常緑低木ヒメモチのパッチの開花割合および開花幹の性比と土壌のリン・窒素量の関係」○二宮健介・烏丸 猛(三重大)

25)「タイ北部の落葉性チークの乾季における光合成能力の低下」○落合拓朗・松尾奈緒子(三重大)・吉藤奈津子(森林総研)・田中延亮(東大)・鎌倉真依(京大)・チャチャイ・タンタシリン(カセツァート大)・田中克典(海洋研究開発機構)

26)「静岡県の小中学校におけるカメ類の飼育の現状とニホンイシガメの域外保全の試み」○小田晃希・宮下滉平・山下祐輝・酒井 泉・加藤英明(静岡大)

27)「雌雄異株性低木ヒメアオキの性特異的ゲノム領域の探索と性識別遺伝マーカーの開発」○大場将平(三重大)・赤田辰治(弘前大)・永松 大(鳥取大)・烏丸 猛(三重大)

28)「衰退した大台ケ原における生残木の水分生理:樹幹剝皮がトウヒの樹液流速に及ぼす影響」○岡本榛名(三重大学)・齋藤隆実・五十嵐康記・熊谷朝臣(名大)・鳥丸猛・木佐貫博光(三重大)

29)「High density causes host alternation in an invasive hervivore, Corythuca maarmorata」堀田賢志・〇Vina Rizkawati・塚田森生(三重大)

30)「静岡県に生息するニホンアカガエルの生息の現状とDNA多型」○酒井泉(静岡大)・守屋司子・栗山由佳子(麻機自然再生協議会委員)・加藤英明(静岡大)

31)「ブナ科数樹種の堅果の性質や状態が散布後種子食昆虫の堅果侵入に及ぼす影響」○澤山りりん・鳥丸猛・木佐貫博光(三重大)

32)「絶滅危惧種ハクセンシオマネキの三重県における分布の現状」○島田英樹・木村妙子(三重大)

33)「福島県産アズマモグラにおける胸部淡色斑の出現と肺の放射性セシウム濃度」〇清水智央・武田沙千愛・白川貴之・加茂川千枝・廣上清一・丸茂克美・横畑泰志(富山大)

34)「ミナミイシガメの遺伝子汚染の現状と交雑個体の検出」白川真衣・村瀬涼介・加藤英明(静岡大)

35)「静岡県に生息するニホンアカガエルの生息の現状とDNA多型」○酒井泉(静岡大)・守屋司子・栗山由佳子(麻機自然再生協議会委員)・加藤英明(静岡大)

36)「森林斜面上の異なる位置に生育するヒノキのアーバスキュラー菌根菌感染率の比較」○杉本恵理・大石有美・松尾奈緒子・喜多晃平・松田陽介(三重大)・勝山正則・鶴田健二・小杉賢一朗・小杉緑子(京大)

37)「北アルプス太郎山におけるニホンライチョウの糞中植物残渣からの餌資源推定」○鈴木雄祐・鈴木景子・藤井太一・上野薫・南基泰(中部大)

38)「開花時期の異なるクスノキ科クロモジ属2種の訪花昆虫と繁殖成功」○徳本雄史(名大・基生研)・松下通也(森林総研)・岸本圭子 (新潟大)・五十君友宏・中川弥智子(名大)

39)「岩礁潮間帯のヤドカリ群集に対する海洋酸性化の影響」○戸祭森彦・今孝悦(筑波大・下田臨海実験センター)

40)「近代化産業遺産「愛岐トンネル群」におけるアカネズミ、ヒメネズミの遺伝的多様性」○山田晴裕・勝彪太・藤井太一・南基泰(中部大)

41)「DNAバーコーディング法を用いた山中湖周辺におけるハチミツの蜜源植物推定」○山川佳琳・藤井太一・南基泰(中部大)・白子智康・田中真規子(いであ株式会社)

42)「中間温帯林(段戸山)の森林構造とスズタケの一斉開花」○依田浩輝・中川弥智子(名大)

43)「太さの異なる人工トンネルのモグラ2種による使用頻度の比較」〇吉村和倫・清水智央・鈴木茂信・氷見公一・横畑泰志(富山大)

44)「Diurnal variation of dissolved inorganic carbon (DIC) with tidal cycling in a mangrove forest in Ishigaki Island, southern Japan」Zheng S., Yoshitake S. (Gifu Univ.), Tomotsune M. (Kobe Univ.), Onishi T. (Gifu Univ.), Kondo M. (NIES), Ohtsuka T. (Gifu Univ.)


ポスター賞に応募のあった35名中、次に示す5名が「優秀ポスター賞」に選ばれ、表彰が行われた。
浅井千由希(岐阜大学大学院応用生物科学研究科)  
河合将生(三重大学生物資源学部) 
澤山りりん(三重大学生物資源学部) 
戸祭森彦(筑波大学大学院生命環境科学研究科) 
宮澤裕太郎(信州大学大学院総合理工学研究科)


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