2021年度生態学会中部地区大会 
2021年11月20日(総会及び大会): 金沢大学 角間キャンパス(オンラインと対面のハイブリッド開催 )

【総会】

・出席者15名

【報告事項】
・中部地区会2021年度研究助成実績
 今年度の助成金事業に対して8件の応募があり、厳正なる審査の結果以下に示す3件を採択することとした。受賞者は2年以内の地区会での発表が義務付けられており、今年度の地区会で2020年度採択者3名が発表することが披露された。次年度の助成金への積極的な応募を周知した。
 滝澤一水(筑波大・院・M1)「草原の時間的連続性が植物群集に与える影響:ため池堰堤の歴史的価値」
 渡辺拓実(富山大・院・M2)「日本列島におけるアカギツネ(Vulpes vulpes)の分布形成機構および進化史の解明」
  策勒格尓(名古屋大・院・M2)「暖温帯二次林の実生群集形成に機能形質と環境フィルタリングが果たす役割」

 ・会計報告
 会計の鳥丸猛より2020年度の会計報告および2021年11月20日までの会計報告があった。地区会の活動には、研究助成金20万円程度、地区会費用10-15万円程度を毎年見積もっており、地区会の還元金に対して、残高を増やさないような活動を心がけてきた。2021年度は新型コロナウイルス感染症対策としてオンラインで地区大会を開催するために経費が軽減される。そのため、還付金に対する残額が7万円前後見込まれ、今後の積極的な予算の活用の方策を依頼した。

・有峰県立自然公園における林道整備計画の見直しを求める要望書の提出
 2020年12月25日に生態学会中部地区会からの「有峰県立自然公園における林道整備計画の見直しを求める要望書」を地区前会長の大塚俊之氏(岐阜大)と生態学会自然保護専門委員会委員長の和田直也氏(富山大)が富山県知事に提出した。林道整備計画対象地はハクバサンショウウオを含む希少種や絶滅危惧種の生息地であり、要望書および提出の様子は地区会ウェブサイトに掲載済である。

   【審議事項】
・自然保護専門委員会・中部地区委員について
 現委員(任期2020年4月〜2022年3月)の和田直也氏(富山大)と増田理子氏(名古屋工業大)の再任について審議し、承認された。

・次年度の会計について
 還元金の比率の引き上げ、完全対面での地区大会・講演会の不開催により、残高が増加している。積極的な活用法に関して意見交換をし、継続審議となった。

・次回の地区大会について
 来年度大会開催校は現在調整中である。過去の地区会開催年と担当校が以下のように披露され、今後の開催校の選定に関して会員からの提案を依頼した。継続審議となった。
富山大(2013)→信州大(2014)→岐阜大・高山(2015)→三重大(2016)→新潟大(2017)→岐阜大(2018)→名城大(2019)→金沢大(2020, 中止)→金沢大(2021)

・その他
 今後の地区会のあり方に関して意見交換を行い、予算執行も踏まえて、ワークショップや地区大会前後のフィールドエクスカーションなど積極的な提案を会員に依頼した。

・総会終了後,研究発表会が行われ,19題の口頭発表がZoomを介して行われた。発表プログラムは以下の通りである。

【口頭発表】

口頭発表会(○発表者、#研究発表賞応募)
A会場 座長:北村俊平

A1#「ヒノキの窒素源推定に向けたアーバスキュラー菌根菌に関連した窒素安定同位体効果の推定」○関原菜月(三重大・生物資源学部),松本昌也(三重大・生物資源部),山川大輔(三重大・生物資源学研究科),松田陽介(三重大・生物資源学研究科),松尾奈緒子(三重大・生物資源学研究科)

A2#「ユーラシア大陸の塩生植物の炭素安定同位体比と生理生態学的特性との関係」〇服部紗良(三重大学・生物資源学部),松尾奈緒子(三重大学・生物資源学研究科),岩永史子(鳥取大学・農学部),Kristina Toderich(鳥取大学・国際乾燥地研究教育機構),山中典和(鳥取大学・乾燥地研究センター)

A3#「常緑広葉樹林における細根生産量の推定方法の比較」○田邉祐斗(岐阜大・自然科学技術研究科),大塚俊之(岐阜大・流域圏科学研究センター)

A4#「環境傾度に沿ったスギ根圏のアーキア群集構造」○峰太一郎,北上雄大(三重大院・生資),小長谷啓介(森林総研),Chien-Fan Chen(台湾林業試験場),松田陽介(三重大院・生資)

A5#「石川県白山山地におけるクロサンショウウオの卵のう色の空間変異パターンの解明と地理的隔離の効果の検証」○江口健斗・上野裕介(石川県立大・生物資源環境)

A6#「ナガレヒキガエルと近縁なヒキガエル類との交雑状況」○岩岡優真(富山大・理工学教育部), 山崎裕治(富山大・理学部)

A7#「子供の野生イノシシの肺における病理病態的研究」○大塚一磨(名市大・総合生命理学部),植田高史(名市大・医学研究科),村瀬香(名市大・理学研究科)

A8#「福島第一原発事故後の日本イノシシの脾臓における病理病態的変化」○山本泰輝(名市大・総合生命理学部),植田高史(名市大・医学研究科),村瀬香(名市大・理学研究科)

A9#「2011年東北震災後に出現したトゲウオ雑種集団における再種分化」○細木拓也(国立遺伝学研究所総合研究大学院大学), 森誠一(岐阜協立大学), 西田翔太郎(岐阜協立大学), 久米学(京都大学), 永野惇(龍谷大学 慶應義塾大学), 神部飛雄(国立遺伝学研究所 総合研究大学院大学), 柿岡諒(琉球大学), 中本健太(東京大学), 飯野佑樹(東京大学), 小玉将史(鹿児島大学), 大場理幹(東京大学), 山﨑曜(国立遺伝学研究所), 北野潤(国立遺伝学研究所 総合研究大学院大学)

B会場 座長: 大河原恭祐

B1#「ヤドリウメマツアリVollenhovia nipponicaの交尾戦略 ―特に雄の交尾行動について―」〇片山聖也(金沢大・自然システム学専攻), 大河原恭祐(金沢大・生命理工学類)

B2#「高山帯の積雪表面に見られる節足動物群集の季節変化 ー富山県立山における事例ー」○峯村友都(富山大・院・理工学教育部), 和田直也(富山大・学術研究部理学系)

B3#「廃菌床に混入する双翅目昆虫の多様性調査」〇中神悠雅(金沢大・自然システム学専攻),都野展子(金沢大・生命理工学類)

B4#「火山ガスがリター分解に及ぼす影響 ー立山高山帯におけるTBI法を用いた評価ー」○金子さやか(富山大・院・理工学教育部),酒德昭宏・和田直也(富山大・学術研究部理学系)

B5#「ヒトスジシマカとその近縁種ヤマダシマカの生殖干渉の研究」○碓井瑞菜(金沢大・自然科学研究科),都野展子(金沢大・自然科学研究科)

B6#「ツバメの繁殖行動における都市環境依存の要因に関する研究」〇八伏克憲(金沢大・自然システム学専攻),大河原恭祐(金沢大学・生命理工学類)

B7#「キツツキ類の音声と採餌痕から生息種の日周行動と枯死木選好性を探る」○田畑望実(名古屋大・院・生命農学研究科), 梶村恒(名古屋大・院・生命農学研究科)

B8#「イタドリにおける花外蜜腺の分布変化と吸汁性昆虫に対する生物的防御の可能性」○古田理奈(名古屋大・院・生命農学研究科), 梶村恒(名古屋大・院・生命農学研究科)

B9#「多年生草本サイハイランへのトラマルハナバチの訪花頻度の年変動」〇島田真彦(石川県立大), 末永海人(石川県立大), 北村俊平(石川県立大)

B10#「スズタケの一斉結実後における野ネズミ個体群の動態と繁殖 ・生息状況」○鈴木華実(名古屋大・院・生命農学研究科), 梶村恒(名古屋大・院・生命農学研究科)

応募のあった19名中、次に示す2名が「研究発表賞」に選ばれ、表彰が行われた。
A6 岩岡優真(富山大・理工学教育部)
A9 細木拓也(国立遺伝学研究所総合研究大学院大学)


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