2022年度生態学会中部地区大会 
2022年12月3日(総会及び大会):富山大学共通教育棟(五福キャンパス)

【総会】(オンラインとのハイブリッド)

・出席者19名

【報告事項】
・中部地区会2022年度研究助成実績
 2022年度の助成金事業に対して8件の応募があり、厳正なる審査の結果以下に示す3件を採択することとした。受賞者は2年以内の地区会での発表が義務付けられており、今年度の地区会では2021年度採択者3名と2022年度採択者1名が発表することが披露された。また次年度に向け、積極的な応募の呼びかけがあった。
 近藤輝留(信州大・院・M1)「キツリフネは乾燥した尾根と湿潤な沢に適応してエコタイプ分化しているのか?」
 菅原早紀(岐阜大・院・M2)「日本産淡水性カメ類による種子散布の実態解明」
  丸林菜々子(富山大・B4)「摂食経験に応じて変化するタンガニイカ湖産鱗食魚の捕食行動と下顎骨形態」

 ・会計報告
事務局会計担当より、2021年度の会計報告および2022年度の会計収支見込報告が行われた。2021年度は地区大会がオンライン開催だったため還元金に対して残額が約7万円生じたこと、算定方法改訂により還元金が前年度より約1万6千円減額されたことが報告された。2022年度は還元金と前年度繰越から10万円程度の支出が見込まれ、昨年度の余剰分が消化されたことが報告された。

   【審議事項】
・中部地区会会長の選出
 次期(2023年1月~2024年12月)の中部地区会会長として、現会長の松田陽介氏(三重大学)が推薦され、全会一致により選任された。事務局を三重大学に置くこととし、会長が幹事を指名してメール報告することが承認された。

・次年度の会計について
 2023年度の研究助成の継続が承認された。次年度以降、残高が増加しないよう積極的に活用することが確認された。

・次回の地区大会について
 過去の地区大会開催地について説明があり、次回開催地をどこにするか議論を行った。引き続き意見を募ることとした。

・今後の地区会、地区大会について
 地区会として招待講演の開催や、学生対象のワークショップの開催をしてはどうかという提案があり、同意された。また、今後の地区大会の開催方法について活発な議論が行われ、開催形式(対面、オンライン)や発表形式(口頭、ポスター)の決定は、原則として実行委員会(ホスト校)が行うことが確認された。その際に全国大会の開催形式も参考にすることとした。

・総会終了後,研究発表会が行われ,19題の口頭発表が対面で行われた。発表プログラムは以下の通りである。

【口頭発表】

口頭発表会(○発表者)
A会場

A1「環境DNA分析を用いた歴史的な都市用水網の魚類多様性の解明」○江口健斗,上野裕介(石川県立大), 郡司未佳、今村史子(日本工営(株)),乾隆帝(福岡工業大)

A2「富山県内を流れる河川上流部における溶存態無機・有機炭素および粒子態炭素の構成比」小林直樹(富山大・持続可能社会創成学環),佐澤和人(富山大・学術系研究部理学系), 太田民久(富山大・学術系研究部理学系)

A3「混合栄養植物への殺菌処理後に形成される菌根菌群集」○榮航太朗,河合将生, 北上雄大(三重大・大学院生資), 谷川東子(名古屋大・大学院生命農学), 松田陽介(三重大・大学院生資)

A4「立山連峰弥陀ヶ原へのモンキチョウの移入と定着」○清水大輔,山崎裕治(富山大学大学院理工学教育部)

A5「ため池堰堤の造成後年数とともに希少植物種数が増えるか?」○滝澤 一水 1,井上太貴 1,土井結渚 1,嶋崎桂 1,鈴木暁久 1,倉知匠 1,川本晟司 2,上倉 優 3,開 岳陽 4,山本 裕加 5,坂本 浩輝 6,川上 美保子 7,田中 健太 1(1 筑波大・山岳 セ、2 筑波大・山岳セ 林野庁、3 筑波大・山岳科学セ (株)地域環境計画、4 筑波大・山岳科学セ 住友林業(株)、5 筑波大・山岳科学セ 日本 NUS(株)、6 筑波大・山岳セ 山梨県庁、7 染屋 の森の会)

A6「アマゴとイワナの交雑状況および交雑地点の物理環境」○田口瑛心(岐阜大学自然科学技術研究科),岸大弼(岐阜県水産研究所下呂支所),伊藤健吾 (岐阜大学自然科学技術研究科)

A7「長野県上高地での外国産マス類と在来イワナの摂餌行動における種間差」○Miles I Peterson (信州⼤学総合医理⼯学),Satoshi Kitano (⻑野県環境保全研究所)

A8「北八ヶ岳「坪庭」の溶岩台地に成立するハイマツ群落の構造」○山下航平,井田秀行(信州大学教育学部)

A9「日本固有亜種ホンドギツネの系統進化プロセスおよび分布域動態」○渡辺拓実,山崎裕治(富山大学大学院)

B会場

B1「キツリフネのエコタイプ間での開花時期の分化:相互移植実験による検証」〇近藤輝留(信州大),田路翼(東京大),中瀬悠太(信州大),市野隆雄(信州大)

B2「実りがないのは誰のせい? サイハイランの結果率に対する送粉者と種子食害者の影響」○島田真彦,北村俊平(石川県立大)

B3「希少鳥類チゴモズの生息地保全に向けた潜在的な繁殖適地および営巣木環境の推定」〇立石幸輝(新潟大学大学院自然科学研究科)高岡奏多(新潟薬科大学薬学部), 冨田健斗 (新潟大学大学院自然科学研究科), 鎌田泰斗(新潟大学農学部), 関島恒夫(新潟大学農学部)

B4「メダカの概年リズムに関する研究」○谷川未来 1,中山友哉 1,大串幸 1,山口大輝 1,吉村崇 1, 2(1 名古屋大学大学院 生命農学研究科 動物統合生理学研究室, 2 トランスフォーマティブ生命分子研究所 (WPI-ITbM) )

B5「暖温帯二次林における樹木群集動態と葉形質との関係」○CELEGEER,岡田知也,渡辺直登,中川弥智子(名古屋大・生命農学研究科)

B6「廃菌床から発生する双翅目昆虫の多様性−特にクロバネキノコバエ科に注目して−」〇中神悠雅(金沢大・自然システム学専攻),都野展子(金沢大・生命理工学類)

B7「音声記録装置を用いたセミ類の鳴声モニタリングと生物季節観測への応用」○堀中将大(富山大・院・持続可能社会創成学環),和田直也 (富山大・極東地域研究センター)

B8「ニホンザルに見られた農地出没パターンの性・年齢差:個体の採食戦略からの検討」○三谷友翼,大井徹(石川県立大学大学院生物資源環境学研究科)

B9「高山帯の雪渓上に見られる節足動物群集の実態―高山生態系におけるエネルギー流の解明に向けて―」〇峯村友都(富山大・院・理工学教育部), 和田直也(富山大・極東地域研究センター)

B10「2020-2021年の福島県放射能汚染地におけるアズマモグラの放射性セシウム汚染状況」○横山寛明,横畑泰志(富山大・理学部・自然環境),菊地文一(元多摩動物公園)

応募のあった19名中、次に示す4名が「研究発表賞」に選ばれ、表彰が行われた。
A7 ピーターソン・マイルズ(信州大)
A9 渡辺拓実(富山大)
B1 近藤輝留(信州大)
B9 峯村友都(富山大)


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