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会長からのメッセージ −その25−

「常任委員会より」

 先日、定例の常任委員会を開催いたしました。そこで議論したことを逐次ご報告したいと思います。

 法人化については「公益社団法人」を目指すことになりました。これについては、鷲谷前会長の文章(日本生態学会誌55巻2号)にくわしく書かれています。またこのメッセージの「その4」にも書きました。そもそもなぜ法人にならなければならないか、なのですが、固定した事務部をかまえ、常勤の事務員を雇って、固定した事業(学会誌の発行、大会の開催など)を行っていますから、その雇い主が、会長や幹事長が変わる度に変わっていたのでは大変な不便が生じるからです。それ以外に法人化すれば新しい事業を始めることも可能となります。事業といっても、収益は全て公益のために使わなければならないのはいうまでもありませんが。こういった事業を行うのを、会長個人じゃなくて、法律上の人格をもった学会組織が行うことにしようという意味です。

 鷲谷前会長は法人化は日本生態学会の歴史上画期的な大転換と位置づけておられましたし、私もそのように認識し、緊張感をもって受け継いだのですが、最近感じているところでは「それほど大ごとでもない」のかなという感じです。一般の会員にとっては会則が定款に変わり、会員が社員になるといった「名前がかわるだけ」である可能性が高いでしょう。名前が変わることに抵抗感をもたれる人は多いでしょうが。

 公益法人に関する法律の改正案が公布されたのは今年の6月であり、施行されるのは2年後なのです。これは現在、公益に名を借りて税制上の優遇を受けながら、その実は利益を不当に得ている法人を整理しようというねらいがあるようで、日本生態学会はいまのところ公益性に抵触することはあり得ません。他の学会でも、既に法人化された学会、いま法人化を議論されている学会などがあり、学会が法人化することに大きな障害はないと思います。私たちは、2年後に申請して公益性の審査を受けることを目指しています。それではこの2年間にどのようなスケジュールで何を行うか?まず来年4月(54回大会)の総会で、このような方向でよろしいでしょうか?と会員の皆様のご意見をうかがう予定です。そのまえに当然全国委員会の承認を得なければなりません。次に、具体的な作業に入ります。会則を定款に改めるという作業です。また、法人になると会計なども少し変える必要が生じます。特別会計をたくさん作ってはいけない。大会の会計も別会計にせずに一本化する。などです。多分、隠し財産をもっているように誤解されないようにしよう、ということじゃないかな。ということで来年の予算は大台にのることになりそうです。最終的な案は55回大会の総会に提出し、そこで会員の承認を受けるということになります。皆様どうぞこの件についてご意見をお寄せ下さい。

 生態士についてはあまり議論できませんでしたが、学術会議でもこういった議論が出ていて「生態環境士」のほうがいいのじゃないかという提案があり、これからはそう呼ばしていただきます。どのように実体化していくかについては、現在計画中の「自然再生ハンドブック」の普及の過程を通じて、具体化していくというようになっています。

 日本生態学会誌の次期編集委員長はまだ決まっていません。次の雑誌の性格は次の編集委員が決めていただければよいのですが、「会員が手にとって読んで見たいと思う」ような雑誌にすること、というのは大前提として受け継いで欲しい。「会員」だけじゃなくて、一般の方も「手にとって読んで見たい」と思うようであれば、さらに良いのですが、そのような方向を目指すかどうかは、もう少し引き続いて議論しましょうということになりました。名乗り出るかたがあればいまからでもどうぞ。

▲先日、別の会議で京都へ行ったときのスケッチ。このときは列車延着をおそれて、早い目に出たら、定刻に着いたのでスケッチの時間があった。今回の常任委員会では列車が15分延着した。