目次へ

会長からのメッセージ −その28−

「新年のご挨拶」

 日本生態学会の会員の皆様、このメッセージの読者の皆様、本年もよろしくお願いします。 昨年1月に妻の父親が亡くなったので、世間の慣例に従い、年賀状を出しませんでした。かといって、服喪中につき年賀欠礼というのも出さなかった。道理でお正月がゆっくりしていた。会議が二つ重なったとき、あっちの会議はこっちを理由に失礼し、こっちの会議はあっちを理由にさぼるようなものだな。ということで失礼していたのですが、それにもかかわらず大勢の方々から年賀状をいただきありがとうございました。

 正月休みは、普段勉強できないようなことを勉強しようと思っているが、なかなかそうはいかない。普段できなかったツケを支払うための時間になってしまう。今年は、来年4月に締め切りを設定した本の第1章を書くための勉強に費やした。あらあらの原稿を10枚ほど書いてしまい、論文や参考書を読んで、粗筋のなかへ補強していく。こういうプランであったが、7枚書いたところで終わってしまった。そうこうしているうちに、共同研究者から、別の章の英語を校訂し、内容も随分改訂したというメイルが来る。ついでにこの論文が引用されていないという指示とともに、pdfファイルが添付されてきた。読むのは明日のことにしよう。

 明日は明日で学会発表の要旨を送付しなければならない。日本生態学会大会の要旨は、すでに送ったつもりだったけれども、ひょっとしたらまだだったかな?こういうことの記憶が曖昧なのが困る。後の二つの学会は確実にまだである。要旨はずっと前に作ってあるのだが、早すぎて受け付けてもらえなかったような記憶がある。普通の人には簡単なような仕事が、IT弱者であるところの私にとっては大変である。ずいぶん時間がかかる上に、送ったあと何か大仕事を達成したような気がしてしまう。それはよいことでもあるが、なにか一仕事なしとげた気持ちでぼんやりしてしまうのは少しまずいのじゃないか。

 このお正月休みはというと、娘が結婚したいのでその相手を連れてくるという。それで、俺と勝負をしてからだ。ということにした。勝負は将棋と相撲いうこでやる。どちらも日本古来のものだから、らしくて良いと考えた。将棋の起源は囲碁などとともにインドであるらしい。シャトランギというのがアラビアではチャトランギとなりヨーロッパに伝わってチェスとなったという。同時に中国、朝鮮を経由して、シャンジ、チャンギからショウギとなったとも。おそらく仏教などとともにいろんな文物と一緒に伝わったのだろう。だから、世界中のショウギは単系統群であるらしい。日本への伝来については南方経由説もある。その論拠は玉、桂、香、金、銀などという南蛮渡来的宝物的な駒の名や、象や虎などという駒名による。象や虎などもあったらしいのですよ。それは大将棋といい駒の種類が今の将棋よりもっと多い。そのほかに中将棋、小将棋があった。現在残っているのは小将棋であって、戦国時代にルールが確立したらしい。それまでは大中将棋もやっていたようだし、駒は残っているのだが、遊び方が解らないと言う。日本の将棋の特徴は取り駒の再使用だが、これは戦国時代のこの国の戦の有りようと関係しているという説もある。

 それでまず将棋の勝負ですが、平手で2番指したが、勝負らしいかたちにならない。そこで、飛車角を落とした2枚落ちで勝負をしたが、それも圧勝で問題にならない。それで香車も落として、4枚落ちでやってみた。少し将棋らしいかたちにはなったが、まだ勝負というほどのものにはならなかった。

 将棋は6連勝ということで、次は相撲で勝負だ。さてこの勝負の結果はまた次回にご報告いたします。 日本生態学会の会長の仕事も半分が過ぎました。あと1年なんとか乗り越えられそうな気がする。どうか皆様のご批判とご協力をお願いします。

▲今回の挿し絵は去年大晦日に描いた、いつもの通学路に雪が残っているというところです。