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会長からのメッセージ −その38−

「紙媒体」

 先週このメッセージが休みであったのは、別の学会に参加していたためです。

 昨年度は(僕にしては)多額の研究費を貰ったので、(私にしては)珍しく多くのデータをとり(自分にしては)珍しく多くの論文原稿を書いてしまったので、(小生といたしましては)珍しく、二つの学会に参加して発表した、というわけでした。(来月は中国でも発表しなければならない、ウワー!)学会発表はパワーポイントでしたが、生態学会大会のように2週間前に送る必要はなく当日持参でもよいということであった。(実は発表の3日前に計算間違いに気づき、計算をやり直したので、このシステムは実に私にとっては幸せなことでした)。発表日またはその前日の昼休み時間などに会場に行き、係の方にusbを渡すと、コンピューターに入れてくれました。その間1分。ファイルに講演番号と名前を書いて置く必要はありますが、これで別に大きなトラブルもなくスムーズに進行しているようでした。生態学会大会では口頭発表(の少なくとも全体に対する比率)が減少しているようなのですが、その一因が、前もって発表ファイルを提出しなければならないことにあるとするならば、当日受付についても一考していただく必要があると感じました。自分用のコンピューター持参も可ということでしたが、コンピューターのつなぎ換えはどんなにやっても多少の余分な時間がかかるようです。

 気になる情報は、その学会では会員が減り気味、特に機関会員や有職者の会員が減っているということでした。そして更に気になるのは、ここ数年会計が赤字であるということでした。これ実に日本生態学会について私が普段から憂慮していることに他ならない。日本生態学会では会員全体は増え気味ではあるのですが、それは学生会員が増えているからであり、団体会員は明確に減少傾向、有職会員もやや減っているということで傾向は同じなのです。団体会員(機関会員)の減少ということは、先日の常任委員会でも話題が出たのですが、シュプリンガー社から、各大学がパッケージ契約で電子媒体の雑誌を購入しているので、大学が各学会の団体会員になって紙媒体を購入する必要がなくなったということによるものです。とすると、シュプリンガーのパッケージ売り上げ増分は、我々の団体会員減分として、こちらへ払い戻していただく権利があるということになる。解りにくい表現をしたが、ウチのお客を奪ったんだから、その分、分け前をよこせというわけです。しかし計算してみるとこれが合わないんですね。あのパッケージにはたしか千に余る雑誌が入っているから、1誌あたりはわずかにしかならない。とても団体会費には見合わないようです。そうすると、団体会員が減るのは趨勢であって、やむを得ないことなのか。(もっとも、やはり紙のモノを置いておきたいという図書館なども結構あるようです。頑張って下さい。)

 ところで、その学会での会員数減少は現業の技術者会員の減少、そしてその理由の一つは紙媒体を早く減らしすぎたということにもよるらしい。紙媒体としては、わが学会と同じく3冊の雑誌を発行されているが、それ以外の紙媒体、大会の講演要旨集はCD版に変わり、大会講演集を論文集という名前で出されていたのは廃止になったようだ。こういうものに投稿することで参加した証しとするということをされていた方がある程度の数、おられたということである。わが学会では結構保守的に大会講演要旨集を出し続けている。廃止しようという案もあったが、いや慎重にと(僕らしくもなく)申しあげた記憶がある。これは大会において少なからぬ当日参加者からの参加費徴収に役立ってきている。もうしばらくは続けたほうがよいようだ。

 本日、事務局の鈴木さんから連絡が入り、今年も科研費の補助金が2件、(英文誌の刊行助成と公開講演会の実行)が通ったので口座を作るようにということです。関係の皆様誠に有り難うございました。すくなくとも今年の会計はなんとか赤字を出さずにすみそうです。ヨカッタよかった。早速僕の名前の通帳を作りに行かなければなりません。

▲四国からの帰りの列車の中で書きました。動いていますから、速写ということです。永沢まことさんはパノラマ画と名付けておられます。

 今日から講義が始まりました。講義3時限、実習2時限です。