日本生態学会

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会長からのメッセージ -その2-

「ESJ70 仙台大会の開催方式について」

 仙台大会では、新型コロナウイルスの収束の見通しが立たない現下の状況を鑑み、オンライン方式を中心に開催することに決定しました。3年続けてのオンライン開催は、誰しも望むものではありませんが、大規模大会の開催に伴う様々なリスクを考えたうえでの苦渋の選択でした。まずその結論に至った経緯を簡単に説明します。

 4月上旬に、学会執行部、大会担当理事、および、大会実行委員会と大会企画委員会の一部のメンバーからなる専門委員会(ESJ70タスクフォース)を開き、大会の開催方式について議論しました。当初は、ハイブリッド方式での可能性を検討しました。とくに、学生や若手から要望が多かったポスター発表の対面実施について意見交換しました。その結果、近距離での会話と密集が想定されるポスター発表の対面実施は、人数制限をかけたとしてもリスク管理や運営上の困難さが伴うという意見がだされ、対面実施は難しいという判断になりました。つぎに、シンポジウムや一般講演の口頭発表について議論しました。これについては、過去の大会でのオンライン方式が比較的好評だったこともあり、オンライン方式がよいのではないかという意見が大勢でした。

 これらの意見を理事会で検討したところ、授賞式・受賞講演だけでもハイブリッド方式で開催できないかという意見がだされました。以前の大会において、授賞式・受賞講演のハイブリッド方式による開催が好評だったことに加え、学会が主催する重要な催しであり、受賞者に晴れ舞台をオンサイトで提供することは、若手のモチベーション向上などの価値も含めて意義が大きいという意見です。この意見を取り入れ、理事会としては、授賞式・受賞講演についてはプレナリーでのハイブリッド方式で開催し、それ以外はすべてオンライン方式による開催とすることに決定しました。具体的な開催方法については、大会実行委員会と大会企画委員会を中心に検討が進められています。

 一方で、前回および前々回のオンラインポスター発表では、意見交換や交流が十分にできなかったという課題が指摘されており、この課題を少しでも解消することは重要です。オンライン方式での開催を一層充実させるため、大会企画委員会を中心に、より充実した議論ができる発表方法の工夫が検討されています。また、大会とは別に、地区会などで小規模の研究集会を企画し、学生や若手研究者の交流の場を創っていく案も検討されています。こうした新しい試みが、3年続けてのオンライン開催の課題を補完できればと期待しているところです。

 会員の皆さんのなかには、この時期に開催方式を決定することは時期尚早ではないかというご意見もあるかと思います。しかし、生態学会のような大規模大会を企画・運営するには、1年以上前から会場の確定や予算の策定、大会日程の調整、人員の確保など、さまざまな準備を始める必要があります。また、感染状況の変化に対応して、直前になって開催形式を変更することは、大会運営に携わる多くの方々に非常に大きな心理的・物理的負担を強いることになります。大会の企画・運営は、数多くの有志によるボランティアによって支えられている事業であることを勘案し、ご理解とご協力をいただければ幸いです。

2022年5月20日 会長 宮下 直

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