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2002年3月の大会時に,以下に掲げる 「日本生態学会のあり方について」が将来計画委員会より提案され, 全国委員会・総会で承認されました. 50回大会ではこの「あり方」を踏まえた運営をすることになります. どのような形で具体化するかはさらに検討のうえご連絡します.  (17 July 2002)


日本生態学会のあり方について

巌佐 庸

2002.3.10


日本生態学会のあり方について,いま対応していなければならない ものとして2つの違った面があると感じています.

第1は,学会の国際化です.

日本分子生物学会や日本生化学会の年会では,そのシンポジウムやワークショップのうち3割程度のものが,発表をすべて英語で行っています.またポスターには少なくとも英語での説明がなされています.

そのことによって,英国や米国などの英語圏の国からの研究者だけでなく,アジアやヨーロッパを含む外国人研究者が参加して楽しむことができるようになっています.

もし日本生態学会が,アジア諸国の人々も参加する学会として機能したいと考えるならば,すくなくともシンポジウムなどの一部は英語による講演をするものが並んでいることが必要と思います.

そのことは留学生や留学経験のある日本人も増えていることを考えると,決して不可能ではないでしょう.

もっと重要なことは日本の大学院生たちが,一人前の研究者となるには英語による研究成果の発表,討論,共同研究を遂行する力が必要だ,ということを意識すること です.

さまざまな国際共同研究などがあるので,そのような機会は十分に与えられるようになっているとする意見もあると思います.たしかに東南アジアやシベリアなどの海外共同研究などに関して,国際会議が開かれることも増えてきました.

しかし,外国人研究者が日常的に近くにいて,またさまざまな海外での長期の出張,国際会議での発表,日本で開かれる国際会議などに出席し英語の必要性を実感できるようになるのは,ごく一部の中心機関に所属する大学院生,もしくは指導教官がそのような意識をもって積極的に指導をする研究室にたまたま所属した大学院生だけです.

今のままでは,そのような機会にめぐまれなかった大学院生との間で大きな力の差ができてしまいます.学会は所属にかかわりなくだれでも参加できる組織です.日本生態学会には,若い会員を生態学研究者として成長できるように助ける責務があり,そのような機会の不公平をなくすという役割を果たすべきだと私は考えます.

第2は,他分野および一般社会との接点の拡充です.

その一方で,保全生物学や応用環境科学など,それから生物学教育などとのかかわりを考えるときには,研究発表をすべて英語でといった雰囲気では,敷居が高くなりマイナスです.だからすべてのセッションを英語にすることがよいのではなく,企画の内容に応じて選べるようにすればよいと思います.

さらに大会でのシンポジウムについても,教育的な講演とか生態学の周辺分野の方や一般的な市民が参加し発表できるような講演やディスカッションのセッションを充実させていくことが必要です.またミチゲーションなどの例の報告や保全に関係した研究の発表,いわゆる応用生態学的なものが発表しやすくなるように工夫することも必要かも知れません.

これまで生態学会の自由集会で試みられていることを,これからもサポートすることとともに,もっと積極的に学会としてもとりこんでいくことが必要な気がします.

以上の観点から次のような改革を提案します.問題点や実行可能性や手順などについて議論をしていただきたいと思います.


[大会のあり方]

注釈: 仙台の大会では,10個の企画シンポジウムのうちS2 (community ecology)とS7(分子生態学)は英語で発表するように計画されています.

また来年の3月に予定されている50周年記念大会(筑波)においては,企画シンポジウムの4つのうち3つまでが発表は英語になると伺っています.

日本人ばかりだと英語ではやりにくいので,1人は留学生なり外国人研究者なりを講演者にまぜていれば,英語でしゃべることがやりやすくなると思います.

公募シンポ式のシンポジウムについても,英語による発表を主とするシンポジウムと明記したものをある割合で採用するようにすれば,自然と増えていくように思います.

海外より招待する講演者の数を増やすことは現在の学会の会計が赤字であることを考えると,無理だと思います.しかし別の費用で招待できるように努力するということしか仕方がないようです.

以下は,相手のあることですし,渡航費用のサポートなどを考えると,すぐには無理かも知れませんが,学会としては可能性について議論しておくことが望ましいと思います.

注釈: これは日本植物生理学会で成功させたと聞きました.日本語ではコミュニケーションができない参加者が一部でも混ざっている状況が実現すれば,発表を英語にすることへの抵抗感はかなり減ると思います.

[周辺諸国との共同大会や共催シンポジウムの開催]


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