25-29 Aug 2004

The 51st Annual Meeting of the Ecological Society of Japan (JES51)

Kushiro Tourism and International Relations Center

Notanda
Changes


Program
Proceeding


JES51 Executive Committee
updated at 16:53 08/10/2006
go back to index

[proceedings] 口頭発表: 景観生態

8 月 27 日 (金)
  • O2-V01: Quantitative analysis to detect the change of watershed structure and Kushiro Mire using GIS (Kameyama,Fukushima,Shimazaki,Kaneko,Yabuki)
  • O2-V02: A stochastic lattice model for forest canopy gaps, generating (Schlicht,IWASA)
  • O2-V03: EXTRACTION OF FISH HABITAT FROM AERIAL PHOTOGRAPH OF CORAL REEF USING IMAGE ANALYSIS AND UNDERWATER OBSERVATIONS (HATTORI,KOBAYASHI)
  • O2-V04: Study on zoning and evaluating of conservation area using inventory base map (Yagasaki,Murakami,Takei,Hiraizumi,Mukogawa,Suzuki)

09:30-09:45

O2-V01: Quantitative analysis to detect the change of watershed structure and Kushiro Mire using GIS

*Satoshi Kameyama1, Michio Fukushima1, Hiroto Shimazaki1, Masami Kaneko2, Testuo Yabuki2
1National Institute for Environmental Studies, 2RAKUNO GAKUEN UNIVERSITY

湿原の保全と再生を考えるには、流域の生態系機能を重視し、流域全体の構造改変と湿原の変化の双方を結びつけることが重要である。本研究で我々が着目するのは、湿原を含む流域が持つ多面的機能と相互作用、及びその変化を把握することである。これらの湿原や流域が本来持つ機能の健全性の維持・回復こそ、湿原の保全・再生プランを策定する過程において最も重要であると考えている。
しかし、これまでは異なるグループが個別に調査・研究に取り組んできたケースが多く、貴重な一次データが散逸・風化しているのが現状である。このような中、既存情報の統合化と、新しい広域的・長期的なモニタリング体制や技術の確立が急務とされている。これらを踏まえ、現在、我々は次の3つを目的として共同研究を推進している。
1.GISデータベース構築:流域に関して1920年代以降4時期の土地利用データ、湿原に関しては1947年以降の4時期の湿原マップを作成し、変化地域の抽出を行った。水環境としては公共用水質データの経年変化、また汚濁負荷の状態については農業用センサスデータをデータベース化した。生物情報に関しては淡水魚類のデータベースを追加・拡充した。
2.空間情報解析:流域全体を、湿原に流入する各支流、またさらに細かなサブ流域ポリゴンに分割して河川のネットワーク解析を行った。ここで、他のGIS情報を個々のポリゴンに属性として与え各河川の特徴を明らかにした。さらに各河川の変遷履歴と、湿原へのインパクトついて解析した。
3.成果のマッピング:研究成果をGISマップとして表示することにより、流域と湿原の人為改変の実態抽出、また定量的把握を可能とした。また、流域と湿原の自然再生を将来計画する際の空間的なポテンシャルを地図化した。
1_から_3の過程において、多様なデータの統合化を図り、広域・長期的な環境改変を定量化すると共に湿原保全・再生のための実用的な研究ステップについて議論する。


09:45-10:00

O2-V02: A stochastic lattice model for forest canopy gaps, generating

*Robert Schlicht1, Yoh IWASA1
1Kyushu Univ.

Gaps in the forest canopy are important for tree regeneration and tree species diversity. We study a stochastic lattice model with nearest-neighbor interaction for the spatial patterns of the forest canopy gaps. Assumtions are: (1) Vegetation height increases at a constant rate. (2) The mortality of a tree at a site in the lattice increases with the height relative to the average height of neighboring sites. The model is similar to the one for wave regeneration in fir forests (Shimagare), but now assuming symmetric wind direction (without predominant wind direction). The model shows that the cluster size distribution often follows a power-law, as is observed in natural forests. We discuss the relationship of our model with other models that generate power-laws, such as three state mussel bed model and forest fire models.


10:00-10:15

O2-V03: EXTRACTION OF FISH HABITAT FROM AERIAL PHOTOGRAPH OF CORAL REEF USING IMAGE ANALYSIS AND UNDERWATER OBSERVATIONS

*AKIHISA HATTORI1, MIYAKO KOBAYASHI2
1Faculty of Liberal Arts and Education, Shiga University, 2Nature Conserv. Educators Assoc. Ishigaki

サンゴ礁には、生きたサンゴ群落が分布しない場所もあるが、そこにも多くの魚類が生息している。複雑な景観構造で知られる石垣島白保のサンゴ礁内に、約4haの観察区を設け、微小生息場所の定義が明確な普通種のハマクマノミを観察対象とした。国土地理院発行の空中写真を拡大して耐水処理を施し、潜水調査用地図として観察に利用した。本種はタマイタダキイソギンチャク(以下宿主)に共生するため、その微小生息場所(宿主)の分布、コロニー形態、サイズ等を地図上に記録しながら生息地を分類した。拡大空中写真の画像解析により、生息地の色彩から潜在的生息地を抽出した。同一面積の20区画で、空間構造の複雑さの指標となるフラクタル次元をボックス・カウント法により求め、生息地面積や宿主個体数などとの相関を調べた。
生息地は、1)ハマサンゴの窪み(ハマサン)、2)ユビエダハマサンゴの窪み(ユビエダ)、3)プラットホーム状礁原の縁(プラット)、4)砂地のパッチリーフ(リーフ)に分類でき、前二者は主に生きたサンゴ群落、後二者は主に死んだサンゴ群落であった。「プラット」、「ユビエダ」、「リーフ」、「ハマサン」の順で生息地が深くなったが(平均59.4cm)、コロニーサイズ・宿主サイズに有意差はなかった。画像解析により、全生息地が特定の色彩で抽出でき、「立体構造に由来する陰」と推察された。宿主個体数とフラクタル次元に有意な相関(rs=0.77, p=0.0007)が見られ、宿主の少ない場所は1.12未満であった。空中写真で陰が判別できる程度に立体構造が明確なリーフは、垂直平面に隠れ場所となりうるスペースを持ち、宿主などが定着しやすい場所であると考えられる。このようなリーフが隣接する場所に、宿主が多くなると示唆された。今後、多様な魚類の生息地の解析に、同様な方法が応用できるかもしれない。


10:15-10:30

O2-V04: Study on zoning and evaluating of conservation area using inventory base map

*Tomoki Yagasaki1, Yuhide Murakami1, Yukihisa Takei2, Naomi Hiraizumi2, Yasuhiro Mukogawa3, Kunio Suzuki4
1Japanese Center for International Studies in Ecology, 2Fukui National College of Technology, 3Snow Management and Construction Technology Research Center of Fukui Prefecture, 4Graduate School of Environment and Information Sciences

本研究は、生態系を構成する生物・生態インベントリー(自然資源)の現地調査とその成果情報の体系的・空間的整備に基づき、生態系の定性的な構造の把握を通じた保全・再生計画の科学的根拠(評価手法)の開発を目的とする。調査対象地は、福井県鯖江市河和田地区のおよそ20km2(トレーニングエリア)である。まず、現地では、植物社会学的植生調査と主要動植物分布調査を実施し、対象地内の現在の自然環境についての空間的情報整備を行った。また、地域住民を対象とした聞き取り調査(武井・平泉・藤田,未発表)および過去時点(昭和23年)の空中写真判読の結果から、かつて生育・生息していた生物種や土地利用などの情報を抽出し、過去時点の自然環境についての情報整備を行った。これらの手順を経て、最終的に、数種類の自然資源ベースマップ(植物社会学的現存植生図、潜在自然植生図、昭和23年植生・土地利用復元図、主要動植物分布図など)を作成した。評価の手順は、1.ベースマップに図示された動植物(個体・個体群)および植物群落に対する個別評価(個々の資源の特性抽出)、2.資源特性の統合化分析(景観特性の抽出、保全・再生地域の抽出)の2段階からなる。個別評価では、希少性、脆弱性、立地極狭性、ビオトープ適性、生態回廊指標性、利用有益性、郷土文化指標性、人為依存性等、資源特性に係る評価項目を設定し、それらの具体的内容・基準を定義すると同時に、該当する資源をリストアップした。とくに、今回の試みでは、生物多様性の持続・向上に強く関連するいくつかの特性(希少性、脆弱性、ビオトープ適性など)に着目し、それらの集積空間を「保全地域」と解釈し、その具体的な資源構成(質)、資源規模(量)、空間構造(資源間のつながり)、地域配分(広がり)などを検証した。