基礎生態学からみた持続可能な農業の方向性

企画者:日鷹一雅(愛媛大農),嶺田拓也(農村工学研究所)

概要: 有機農業は,ヒト,自然環境,生態系に良い食料生産方法である唯一つの技術体系のように思われているが本当だろうか?

 最近わが国では有機農業推進法が成立したが,農業環境政策の先進国EUではすでに同様の法律があり,有機農業に関する基礎研究はかなり以前から行なわれている。日本やアジア諸国の現状はどうであろうか? 最近のEcology誌で,福岡で開発された,ジャンボタニシ(スクミリンゴガイ)を水田に放して除草に使う農法がアジア諸国に普及し,その結果生じた生態系撹乱が紹介されている。 有機農業の名の下に不用意に生物を利用することは,生態系や生物多様性を撹乱し、場合によっては農業・農村文化の持続可能性に障害をもたらしかねない。本企画では,有機農業の理論と実際を基礎生態学の立場から科学する。とくにスクミリンゴガイ利用問題を題材として,持続可能な農業の方向性や研究のあり方について,生態学をベースとした議論を進める。