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侵入生態学〜外来生物の定着段階を科学する

企画者:西川潮(国立環境研究所)、内井喜美子(総合地球環境学研究所)

概要: 外来生物が新天地に侵入すると、まず、環境に適応し、その後、増殖や分布拡大を経て侵略的外来種(侵入種)となる。侵入種は、捕食や競合、病原菌の媒介などを通じて、在来生態系の構造や機能に甚大な影響を与える。しかしながら、外来生物は白(非侵略的)か黒(侵略的)かの二極に大別されるだけではない。生物学的侵入に伴う環境や生物との相互作用を仔細に観察すると、外来生物と環境、外来生物同士、ならびに外来生物と在来生物の間で実に複雑かつ多様な関係を築いていることが分かってきた。

本シンポジウムでは、外来生物を取り巻く相互作用の多様性科学という観点から、水域から陸域にいたる様々な生物学的侵入の事例を演者の方々に紹介していただく。一般に、生物学的侵入は、主要な環境リスク要因として、保全生態学の中心的テーマとなると同時に、自然実験として、進化学的かつ生態学的現象の解明に有効な場を提供する。総合討論の場では、これらを踏まえ、基礎面ならびに応用面での研究の発展性について議論を深めたい。