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気候変動下における統合的生態系管理と生態学の役割:熱帯降雨林の持続的管理と生態系予測の例

企画者:北山兼弘(京大・生態研)、武生雅明(東京農大・地域環境)、長谷川元洋(森林総研・木曽)

概要:

気候変化や土地利用変化によって生態系の劣化が今世紀末に向かって続くことが予測される中、生態学には、変動環境下で生態系を持続的に管理するための手法開発という新たな視点が求められている。これを達成するためには、生態系の予測能力向上が不可欠である。熱帯降雨林は最も急激な改変を受けている生態系だが、今後も土地利用と気候変化の影響によって急激に劣化するものと危惧される。熱帯降雨林には、木材資源の持続的供給と生物多様性の保全という、互いに矛盾した生態系サービスが期待されている。私たちは、変動的な環境下で木材生産と生物多様性保全を調和させるための研究をマレーシア・サバ州デラマコットで行っている。課題の1つが、気候変化や土地利用をシナリオに組み込んだ熱帯林生態系の長期予測と持続的管理手法の開発である。衛星データや生態系モデルを併用した私たちの研究を紹介しながら、持続的生態系管理における生態系予測の役割について考えたい。