Last update on 2010-10-21
ここに掲載されている情報は、現時点の速報です。随時情報が入り次第アップデートしていきます。 この速報は、企画集会、自由集会の応募に関して参考にしていただくために掲載しているもので、 オーガナイザー、集会タイトルともに最終決定ではありません。
企画者:宮竹貴久 (岡山大)・岸田治(北大)
概要: 近年、動物生態学は分子遺伝学の技術を取り入れて新しい展開を見せている。しかし、生態学の基本構成をなす生物個体と遺伝子の間には、生理学という大きな学問領域があり、行動生態学ではあえてここに目を向けずに学問発展がなされてきた。そもそも生理学って生態学の役に立つのだろうか?本シンポジ ウムでは、生理学から動物の行動や生態を考えている研究者と、生態・行動学から生理学にも興味を持っている研究者の間で興味を共有し合える機会を作りたい。そして生態学と生理学の間に介在するギャップを見つめなおし、逆に、いかにすれば生理学を武器として動物生態学を今以上におもしろくできるだろうか?考えてみたい。
講演:
コメンテーター 松島俊也
総合討論
企画者:中野伸一(京都大生態研センター)・山本啓之(JAMSTEC)
概要: 生物多様性は、国際条約(CBD)の下、複数の国際プログラムが様々な視点から調査研究や普及広報や教育などのプロジェクトを実施してきた(CoML, DIVERSITAS, GBIF, GEO-BON, ILTER, ICoMM etc.)。また2010年10月の生物多様性条約締結国会議(COP10)では、これからの短期目標と長期の戦略が議論される。研究の状況では、情報高分子の解析技術は生物多様性の分野にかつてないほど精緻で多量なデータを提供し、分野として新たな進展を後押ししている。一方、生物多様性が国際の場で論議された当初は、微生物の重要性が認識されていたにも関わらず、現在の生物多様性プロジェクトへの寄与は大きくない。本企画シンポでは、微生物多様性についての具体的な研究成果やデータベースに関する状況を検証し、今後の生態系研究や種々の環境プロジェクトにおける方向性を示したい。
講演:
企画者:吉田丈人 (東京大院総合文化)
概要: 自然再生は、地域において失われつつある生物多様性や自然環境を、地域の多様な主体が科学的データに基づいて取り戻すことだけでなく、生物多様性と密接に関連する地域の人々の営みをも再生するアプローチとして期待される。自然再生に対する科学の貢献は、もはや生態学だけではなく、広く自然科学や人文社会科学に求められている。
本シンポジウムでは、湖沼と湿地を対象として議論する。淡水生態系の生物多様性は、他のどの生態系よりも速い速度で失われつつあると言われる。一方で、富栄養化の問題など、長年にわたって未解決のままの問題も存在する。人間活動に起因する諸々の要因に対して生物多様性や生態系は反応し、改変された生態系サービスが人間社会に影響を与える。国内のさまざまな湖沼や湿地において見られる生物多様性や生態系の変化と、それに対してどのような自然再生が検討・実施されるかについて紹介しながら、生態学の役割と他分野との協働について議論したい。
講演:(順序未定)
コメント 鷲谷いづみ(東京大) 宮内泰介(北海道大) 三橋弘宗(兵庫県立人と自然の博物館)
企画者:小山耕平(石川県立大・生物資源環境)・福森香代子(テキ サス大オースティン)・八木光晴(九大院・農・水産実験所)・森茂太(森林総研)
概要: WBE理論(メタボリック・スケーリング理論)は、生物の個体サイズとエネルギー 代謝量(呼吸量や光合成量)の関係を「べき関数」(=3/4乗則)として表し、個 体の成長パターン及び個体群の総生産量を、この関係から演繹して統一的に表現しよ うと試みる。この理論は全ての生物種に対して、また陸上系・水系といった生態系を 選ばずに適用可能な理論として提唱されているが、反論も多い。代謝べき乗則の理論 は今後、どのような実証データによって発展するのだろうか?本集会では、現在の 「生理生態学」や「生態系ストイキオメトリー」の若手研究者らによる実証データ が、代謝べき乗則に関する理論を進展させる可能性について議論したい。
講演:
コメント 占部城太郎 (東北大院・生命科学)
総合討論
企画者:宮崎祐子 (北大・創成)、、佐竹暁子(北大・創成)
概要: 植物の開花量や種子量は著しく年変動し、個体間で同調することが知られている。この現象はマスティングと呼ばれ、その現象の不思議さや生態系に与えるインパクトの大きさから、古くから多くの生物学者の興味を惹いてきた。マスティングを引き起こす至近要因については、低温や乾燥などの気象要因や、植物体内に貯蔵された養分量状態などの内的要因の関与が指摘されているものの、解明に至っていない。しかし近年、種々の測定技術や分子生物学のめざましい発展により、マスティングの至近要因を直接的に検討できる材料が揃ってきている。本シンポジウムでは、植物生理生態学、分子生物学、数理生物学といった多角的なアプローチからこの問題に取り組む研究を紹介し、総合討論を通して、マスティングのメカニズムに迫りたい。
講演:
コメンテーター 井鷺裕司(京都大)
企画者:湯本貴和 (総合地球環境学研究所)
概要: 日本列島は,他の「先進国」に比べ高い森林率や高い生物多様性を保持している。稠密な人口を擁するにもかかわらず,なぜ日本列島の生物多様性は失われなかったのか?縄文時代や江戸時代に「自然と人間の共生」の理想を求める言説は多い。この企画では、1)日本列島の生物多様性が高かった要因を主に地理的,気候的,地史的側面からの仮説を示し,2)列島各地の歴史から見出した生物資源利用とその管理の成功/失敗事例を紹介し,3)列島の生物多様性が維持された要因を整理した上で, 4)今後の「自然と人間の関係」をどうしていくのかを展望したい。世界の流れは、生物多様性のみを保全するのではなく,人間との関係性も含めて保全していくという方向に動きつつある。生態学と同じ「関係性」の学問である歴史学の視点に触れ,生物多様性と分かちがたく結びついている文化多様性について考えたい。
講演:
総合討論とまとめ
コメンテータ(予定) 矢原徹一(九州大) 松田裕之(横浜国大)
企画者: 岡田賢祐(岡大・環境) 粕谷英一(九大・理・生物)
概要: 生物はいつでも同じふるまいをするのではなく、自分を取り巻く他個体や環境条件によってふるまいを変える。そのうちの1つである過去の経験などの情報によって行動を変える、‘意思決定’(decision making、意識的にそうしているかどうかを問わない)が、近年注目を浴びている。動物行動学では、この意思決定は現在の条件や過去の経験に依存したふるまいの変化として扱われており、明らかにされた内容は驚くほど複雑で生物に関する単純なイメージを改めてくれる。さらに得られた結果から、個体の意思決定が生態学にとって重要な過程であることもわかる。例えば、メスの産卵行動の意思決定は、競争相手である他のメスだけでなく捕食者の存在にも影響される。これは同種内や異種間の相互作用を介して、意思決定が個体群あるいは群集にまで影響が及ぼすことを意味する。ここでは、意思決定の実態に驚くとともに、意思決定が生態学の発展の起爆剤になりうるか議論したい。
講演:
コメンテーター:久保拓弥(北大・地球環境)
企画者:Yoshiko Iida (Hokkaido Univ), Yusuke Onoda (Kyushu Univ), Hiroko Kurokawa (Tohoku Univ), Toshihiro Yamada (Hiroshima Univ)
概要: Trade-offs among plant traits play an important role in the specialization for different environments and coexistence of plant species. It remains a major challenge to understand such specialization from underlying physiological and morphological traits. We will present studies that integrate such traits to branch, whole plant and community levels and, in turn, understand how they contribute to the success of plants in different environments. We will discuss our studies to develop general concepts for understanding species composition, coexistence and productivity in light of underlying plant traits and their trade-offs.
講演:
Synthesize & Discussion Yoshiko Iida (Hokkaido Univ), Yusuke Onoda (Kyushu Univ), Hiroko Kurokawa (Tohoku Univ), Toshihiro Yamada (Hiroshima Univ)
企画者:河田雅圭 (東北大院 生命科学)
概要: ある生物は多様な環境に適応しているのに対し、ある生物は限定された生息環境に留まっている。また、ある生物は、急速に環境に適応して進化しているのに対し、ある生物では長期間形質を進化させていない。これは、その生物の取り巻く物理的環境や相互作用する生物的環境などの違いによるだけでなく、生物種自体の進化しづらさ(conservatism, constraints)、あるいは進化しやすさ(evolvablity)が関与している。進化を妨げる要因としては、集団内に維持される遺伝的変異に影響する集団サイズや交雑、移動分散などの集団遺伝学的要因とその生物自体のもつ遺伝的システムによるものがある。進化しづらさ・進化しやすさは、生物多様性や群集構造を決める重要な要因の一つとして考えられる。たとえば、ニッチに関する性質の進化しづらさ(niche conservatism)は、新しい環境への移住の制限をもたらし、種多様性を決める要因の一つとなる。また、今後の気候変動に対して生物は進化的に適応できるのかどうかを予測する上でも、進化しづらさに関わる要因を明らかにすることは重要である。シンポジウムでは、進化しづらさに関係する要因について、また、それが生物多様性研究および地球環境変動への生物の進化的応答研究に与える影響について考察する予定である。
講演:
コメント 瀧本岳(東邦大 理)・工藤洋(京都大 生態研セ)
西川 潮(新潟大・超域),関島 恒夫(新潟大・院・自然科学)
概要: 野生絶滅種の再導入は、これまで海外を中心として、鳥類や大型哺乳類などを対象として進められてきたが、その多くは絶滅種を生態系の構成メンバーの一員として復元・定着させることに目標がおかれてきた。わが国では、これまで、野生絶滅種の再導入は二例を数えるのみで、2005年にはじめてコウノトリが兵庫県豊岡市に、2008年にはじめてトキが新潟県佐渡市(佐渡島)に再導入されている。日本で実施されている野生復帰事業は、古くから生活に密接な存在である里地・里山が舞台となっているため、鳥類そのものの復元・定着だけでなく、これらを象徴種として里地生態系の復元を行っていく点にも学術的および社会的な重要性がある。本シンポジウムでは、日本の二大自然再生現場(佐渡島、豊岡市)における鳥類の野生復帰の現状、およびこれらを象徴種とした里地の再生の現状を演者らに紹介していただき、両地域における成果や課題を対比させながら“日本流”の自然再生手法について考えたい。
講演:
企画者:野田隆史(北海道大)・森 照貴(自然共生研究センター)
概要: 群集生態学は大きく分けて二つのアプローチによって進展してきたと考えられる。ひとつは、群集の一部を取りだした少数種を対象に、種間関係や密度依存性を明らかにしてきたアプローチであり、生物群集の構造を決める原因(プロセス)に注目することが多い。もうひとつは、マクロ生態学や群集集合など全体を捉えようとするアプローチであり、空間構造や環境要因の結果として観察される種数や群集構造(パターン)などに注目することが多い。近年、密度依存性の群集レベルでの帰結が示されるなど、パターンを説明する要因として、一つ目のアプローチで解明されてきたプロセスの重要性が再認識されている。これまで同じ群集生態学者であっても、アプローチに依存して方向性や展望が大きく異なってきた。そこで、本シンポジウムでは、アプローチの違いが、どのような視点や展望の違いをもたらしてきたのかを整理し、両アプローチを今後、どのように発展させていくべきかについて議論を行う。
企画者:永松 大(鳥取大学地域学部地域環境学科)
概要: 水域と陸域の境界である海岸には、海からの砂や塩の供給とそこに定着する植物の耐性のバランスによって草原群落が成立する。草原の成立しにくい日本列島において,海岸草原は自然度の高いユニークな生態基盤といえる。しかし比較的最近成立したはずの「白砂青松」が砂浜海岸の原風景として扱われるなど海岸草原生態系に対する社会の認識は低く,人為改変にともなう海岸草原の希少化が進んでいる。このシンポジウムでは,海岸植生の生態的特徴と危機の現状について特に砂丘植生を中心に紹介し,砂丘植生の生態的な意義や保全の必要性について考えていく。発表者の方々には海岸植物群落に対する人為インパクト,海岸植物の種としての希少性,保全にあたっての問題点,保全・再生の実践例について報告をいただく。生物多様性の観点も織り込みつつ,海岸植生とくに砂浜や砂丘植生の保全目標について議論を進めるとともに,今後の研究および保全活動の方向性について議論を進める。
講演:
企画者:深谷肇一(北海道大環境科学院)・奥田武弘(遠洋水産研究所)・熊谷直喜(水産工学研究所)・堀正和(瀬戸内海区水産研究所)
概要: 生態学における一般理論の探求には、ハビタットの垣根を超えた研究者間の議論が欠かせない。しかし、水域と陸域という異なる生態系を対象とした研究者の間で、双方向の議論は十分に行われているだろうか。例えば、陸域と水域の研究は、互いに共通の生態学的課題に取り組んでいても学術雑誌や学会講演において異なる分野へと分離されがちである。また学術論文の出版・引用関係においても両者の間には大きな偏りや非対称性があることが知られている(e.g. Menge, 2009)。このように両者の間には双方向の議論を妨げるギャップがあるのかもしれない。本企画では、日本の生態学界における陸域・水域の生態学者間の連携についてあるべき方向性を探ることを目的とする。講演ではギャップ構造についての調査結果を報告し、両生態系の実証・理論の研究者が自身の立場から意見を述べ合った上で、これらのギャップについて思うことを議論する。
講演:
総合討論 コメンテーター1(水域-1) 野田隆史(北海道大) コメンテーター2(陸域) 中静透(東北大) コメンテーター3(理論) 瀧本岳(東邦大) コメンテーター4(保全) 松田裕之(横国大) コメンテーター5(水域-2) 陸水がフィールドの研究者から1名
企画者:三浦 収 (京都大 地球環境学堂) 概要: 寄生虫学という言葉から連想されるのは、寄生虫病の予防や治療、そしてその撲滅に関する学問である。しかし近年、寄生虫を用いた進化生態学的な研究に大きな注目が集まり始めている。その理由の一つは、宿主に生息環境の大部分を依存する寄生虫の性質が進化生態学の問題を解くための単純な実験系を提供してくれるからである。また最近の研究により、行動・形態・生存率などの宿主の生態に寄生虫の感染が大きな影響を与えることも明らかになってきた。本シンポジウムでは、寄生虫生態学の面白さや可能性について学会関係者に広く知ってもらうために、生態・食物連鎖・外来種問題・保全・共進化など様々な視点から寄生虫生態学を紹介したい。
講演:
企画者:西田貴明 (三菱UFJリサーチ&コンサルティング(株))
概要: ポストCOP10に向けて今年発表された生物多様性国家戦略2010では、生物多様性地域戦略の策定の普及が「生物多様性の社会の主流化」に向けた重要事項として位置づけられた。先進的な自治体では既に地域戦略の策定がなされ、また昨今更に多くの自治体が策定の検討を開始している。一方で、真に地域の多様さを把握し、個々の生物多様性やその恩恵である生態系サービスに適した地域戦略を設定することは容易ではない。また、策定した戦略の実効性を担保するための具体的施策については、多くの自治体が依然試行錯誤を繰り返している様子が見て取れ、具体的施策を戦略へ体系的に落とし込む段階にまで踏み込めている自治体は少ない。これらの現状は、生物多様性地域戦略
策定・運用に関して、依然として国内に十分な科学的知見が蓄積されていないことを示唆している。地域の生物多様性の特性の把握、産業や文化・慣習の把握、地域特性に応じた目標設定、具体施策の策定、当地における既存政策との整合性、実施主体、PDCAの仕組みづくりなど、生物多様性の地域戦略策定の成功要件は多様で複雑である。本シンポジウムでは戦略策定に携わった経験を持つ学識者や実務家を中心に、事例を交えながら検討を行ない、生物多様性地域戦略策定ならびに運用の要諦を炙り出す。
講演:
企画者:井鷺裕司 (京都大院農学研究科)
概要: 生物多様性の重要性は広く認識されつつあるが、種の絶滅に関しては依然として深刻な状況にあり、個体数が数十~数百にまで減少した種も少なくない。これらの種に関しては、全個体の遺伝子型をすべて決定(ユビキタスジェノタイピング)し、その情報に基づいて人工交配、移植、生育地外保全などの策を講じることが有効である。本シンポジウムではこのアプローチによる絶滅危惧植物保全の可能性について議論を行う。 既に得られている興味深い結果として、 100個体以上生存していると思われていた種が遺伝的には1個体であった例、個体群ごとに遺伝的特徴が著しく異なり個体群の遺伝的質と保全努力とが一致していない例、野生と思われていた個体群が過去に人為的に増殖・移植されていた例などがある。また、全個体の生育位置特定のための新たなツールの活用や、空間情報、遺伝子型情報を考慮した数理モデルで個体群の持続可能性を評価する事の有用性も議論したい。
講演: