| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第68回全国大会 (2021年3月、岡山) 講演要旨
ESJ68 Abstract


一般講演(口頭発表) B03-06  (Oral presentation)

捕食者に対する防御反応と変態に餌の質が及ぼす重大な影響
Food quality plays an important role in anti-predator reaction and metamorphosis

*村上央顕, 西村欣也(北海道大学大学院)
*Hiroaki MURAKAMI, Kinya NISHIMURA(Hokkaido Univ.)

生物が食べる餌の質の良し悪しと対捕食者防御に伴うコストの大きさは、どちらも成長や発達に影響を与える。そのため(1)対捕食者防御の程度は成長や発達との兼ね合いで餌の質の良し悪しに基づいて調整されることと、(2)対捕食者防御によって、成長や発達が妨げられるかもしれないが、その程度は餌の質の良し悪しによって異なることが予想される。本研究では、捕食者であるエゾサンショウウオ幼生に対して可塑的に防御形態を発現させるエゾアカガエル幼生を、タンパク質含量が異なる2種類の餌とエゾサンショウウオ幼生の有無を組み合わせた4種類の処理区で飼育し、幼生期の対捕食者防御の程度、変態してカエルになるまでの所要日数とカエルとなった時の体重を調べた。幼生期、エゾサンショウウオ幼生がいる処理区では餌の種類によらず防御形態を発現していたが、その発現程度はタンパク質含量の低い餌を食べている場合、小さかった。これは餌のタンパク質含量が低いと成長や発達が妨げられすぎないように、やむをえず防御反応の発現を節約したからではないかと考えられる。変態までを比較すると、どちらの餌を食べていてもエゾサンショウ幼生がいる処理区で遅く、その遅延程度はタンパク質含量の少ない餌を食べている方が大きかった。防御のコストが発達の遅れとして反映されその程度は餌の質が悪いと大きいことが示された。本研究は、餌の質によって対捕食者防御が調整されることと、捕食者が生活史に与える影響が餌の質によって異なることを示したものである。被食者が対捕食者防御をすることや被食者が利用する餌の質が時間的空間的に異なることは一般的なので、このような現象は自然界で広く起きていることだろう。


日本生態学会