| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第68回全国大会 (2021年3月、岡山) 講演要旨
ESJ68 Abstract


一般講演(ポスター発表) P1-202  (Poster presentation)

被陰ストレス下における地上部・地下部の生存に向けた炭素利用制御
control of carbon use between above- and below-ground part for survival under shade stress

*入野瑛介(山形大学)
*Eisuke IRINO(Yamagata University)

林床に生息する実生は上層木からの被覆などにより被陰ストレスを受けていることが多い。被陰されてしまうと光合成による炭素獲得が出来ず、体内に貯蔵されている炭素のみで生存する必要がある。一方、被陰ストレス下を生き抜き、ギャップ形成などで被陰が改善されたときに実生は成長する。そこで本研究は、被陰ストレスを受けている実生の炭素利用の変化とストレス解除後の動態を呼吸と炭素量(デンプンと可溶性糖)の変化からみることで、実生が被陰ストレス下で生存しようとするしくみとストレス解除後の成長に向けた動態を明らかにすることを目的とした。本研究ではミズナラの当年生実生を対象とし、遮光シートを用いて実験的に被陰処理を行った。サンプリングを行い、実生を葉・茎・主根・細根の器官ごとに分けて呼吸速度の測定、糖分析をそれぞれ行った。
 被陰を受け始めてから2週間の内に、呼吸速度はどの器官でも大きく減少した。しかし、その後はどの器官も減少の勾配が緩やかになった。ストレス解除をさせた個体では呼吸速度に回復が見られたが、3~4週間の被陰を受けると回復しにくい状態が見られた。また、炭素量は被陰を受けて1週目で大きく減少したがその後は概ね横ばいであったが、地下部の比重が大きくなっていた。このことより、被陰ストレス下では炭素を地下部に分配するということが明らかになった。


日本生態学会