| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第68回全国大会 (2021年3月、岡山) 講演要旨
ESJ68 Abstract


一般講演(ポスター発表) P1-355  (Poster presentation)

伊豆諸島三宅島における国内外来種ニホンイタチの食性
Food habit of domestic alien species Japanese weasel (Mustela itatsi)  in Miyakejima, Izu Islands

*東谷一熙(筑波大学), 上條隆志(筑波大学), 長谷川雅美(東邦大学)
*Kaduki HIGASHITANI(University of Tsukuba), Takashi KAMIJO(University of Tsukuba), Masami HASEGAWA(Toho University)

ニホンイタチ(Mustela itatsi)は伊豆諸島の島々に国内外来種として定着している中型哺乳類であり、最高位の捕食者として定着地の生物相に影響を及ぼしている。三宅島では、ネズミ駆除を目的とした1982年頃の導入が定着の契機となり、以降、準固有種であるアカコッコ(Turdus celaenops)やオカダトカゲ(Plestiodon latiscutatus)の個体数減少が報告されている。三宅島における本種の食性については、導入直後の報告(長谷川,1999)と2000年噴火直後の記録(2006年に実施、上杉ほか, 未発表)がある。2000年の噴火から約20年、本種の導入から38年を経た今、その食性には大きな変化があると考えられる。そこで本研究では、ニホンイタチの食性の現状と変遷を解明することを目的として糞内容物分析を行った。
糞内容物分析の結果、現在の三宅島のニホンイタチは、主に昆虫を餌資源として利用していた。また、季節によって餌資源の構成が異なることが示された。一方、標高や森林面積等の環境要因が餌資源構成に与える影響は明確には確認されなかった。これは、本種が比較的広い行動圏を持ち、異なる景観間をまたがって採餌をしていることが原因の一つと考えられた。長期変化に着目すると、オカダトカゲの出現がイタチ導入直後に比べ減少し、主要な餌資源ではなくなったことが示された。さらに、2000年噴火後の2006年と現在を比較すると、2006年時点では昆虫だけでなく多足類なども多く利用していたが、2019年、2020年については、昆虫がほとんどを占めていた。これらのことから、三宅島のニホンイタチは、餌資源の長期的な変化や変動に合わせて食性を変えることで個体群を維持してきたと考えられる。


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