| 要旨トップ | 本企画の概要 | 日本生態学会第68回全国大会 (2021年3月、岡山) 講演要旨
ESJ68 Abstract


シンポジウム S11-5  (Presentation in Symposium)

EcoDRRを河川の氾濫原に適用するための研究課題
Research subjects for application of Eco-DRR to flood plain in the river management

*竹門康弘(京都大学防災研)
*Yasuhiro TAKEMON(Kyoto University)

日本列島には,盆地と狭窄部,扇状地と沖積平野の組み合わせ地形が多い.また,火山噴火・地震・津波・台風・集中豪雨などの「自然異変(hazard)」を高頻度・強強度で受ける風土にある。このため,ダムや堤防などの構造物だけで「災害(disaster)」を防ぐことには限界があり,氾濫をしても被害を軽減する対策が求められている。一方,日本列島には自然異変に適応した生物が多く、生態系の構造や機能に自然撹乱が重要な役割を果たしている。したがって,潜在的に氾濫原になりやすい地域に「生態系に根差した減災EcoDRR(Ecosystem based disaster risk reduction)」を適用することによって,災害に強い社会と生物多様性保全や河川環境の持続的利用とを両立できると期待される.本講演では,氾濫原生態系の観点からEcoDRRが備えるべき要件を挙げ,「異変利益(hazard benefit)」の考え方に基づいて,持続可能なEcoDRRを社会実装していくために以下の課題を考察する。

1)自然異変の生態機能
 自然異変によって新たに形成される砂州、干潟、砂嘴、砂丘、後背湿地などが果たす生態系機能を追究することによって,自然異変の果たす積極的役割を示すこと。

2)異変利益の価値評価
 氾濫源農業や水産業には自然異変利用に加えて,土石流,斜面崩壊,洪水,高潮,津波などの土砂生産やエネルギーを異変利益として評価・活用する技術の開発。

3)土砂移動を想定した河川管理への移行
 現状の固定床の河川管理から,自然異変時における土砂動態を計算に組み込んだ移動床の河川管理へ移行する必要性。

4)EcoDRRにおける環境防災学的研究
 EcoDRRの防災効果と環境価値の両立させるための技術開発,ならびに災害後の環境変化を予測し生活再建に役立てるための環境防災学的研究。


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