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ESJ57 一般講演(口頭発表) J1-08

カラフトマス生物量の隔年変化とハシボソミズナギドリの栄養状態:魚と鳥の競争の証拠

峠佳奈子(北大水産),山下麗(農工大),福若雅章,山村織生(北水研),*綿貫豊(北大水産)


大型魚類と海鳥は、オキアミなどマイクロネクトンや小型の浮魚を捕食する重要な高次捕食者である。彼らが餌生物個体群に与えるインパクトはよく知られているが、彼らの間に餌をめぐる競争があるかについてはよくわかっていない。調査が困難であるため、特に外洋域での情報は欠けている。夏期間、中部ベーリング海域において、カラフトマスと越冬のためにやってくるハシボソミズナギドリの個体数は莫大であり、両者とも表層においてオキアミ類、ハダカイワシ類、イカ稚仔を捕食する。この海域においては、カラフトマス資源量は10倍に及ぶ隔年変化を示す。このカラフトマスの資源量変化に対してハシボソミズナギドリの餌や栄養状態がどう変化するのか、2003年から2008年のサケマス試験操業において混獲されたサンプルから明らかにした。奇数年のカラフトマス資源量は偶数年の11倍程度だった。偶数年に比べ奇数年にはハシボソミズナギドリの肝臓重量が14%低下し、皮下脂肪ランクの大きな個体の割合が低下した。空胃個体の割合や餌構成に大きな年変化はなかった。これらから、表層性の海鳥と大型魚類の間に餌をめぐる競争関係にあるかもしれないことが初めて示唆された。


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