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ESJ57 一般講演(口頭発表) J2-11

有性, 無性の成長率の比較:フナ類の有性, 無性の共存研究 II

箱山 洋(中央水研), *岡本千晶(中央水研), 児玉紗希江(中央水研), 小関右介(長野水試), 松本光正(中央水研)


フナ類は、有性型(二倍体)と無性型(三倍体)からなる集団として同所的に共存している。フナ類の無性型は雌性発生であり、クローンのメスが産まれる。有性型の性比が1:1だとすると無性型は有性型の2倍の増殖率を持っており、性以外の条件が同一であれば、有性型を駆逐して自らもオス不足で滅びる。同所的共存のためには、(1)有性型に増殖上の有利さが必要であり、(2)少数者有利の頻度依存淘汰(例えば、無性型が少なければ無性型の増殖率が大きいような仕組み)が必要である。魚類のメスでは、体重は産卵数に比例する重要な要素であり、繁殖率に大きく影響する。そこで、本研究では、競争下にある有性型と無性型の成長の違いを明らかにし、成長に少数者有利の頻度依存性があるかを検証した。方法としては、飼育環境、発育ステージの異なる3つの実験系で有性・無性型の体サイズを測定し成長の違いを検討した。(I)稚魚競争実験:日長と水温を制御した水槽(45cm×3)に一腹子の生後一ヶ月の稚魚を(a)有性型100尾、(b)無性型100尾、(c)有性型50尾、無性型50尾(混群)導入した(n=7)。導入後4ヶ月で取り上げ体長・体重・倍数性を測定した。(II)室内実験個体群:日長と水温を制御した水槽(2ton×7)に有性型と無性型の成魚を導入し、1年間飼育後、再生産して加入した個体も含めて体長・体重・倍数性を測定した。(III)半野外実験個体群:自然河川から取水し日長と水温等は自然環境の池(17ton×8)に有性型と無性型の稚魚を導入し、2年間飼育後、再生産個体も含めて体長・体重・倍数性を測定した。分散分析と事後検定から二倍体・三倍体・四倍体(生まれた子供に四倍体がいる)の体長比較を行い、メタ・アナリシスを用いて全体の傾向を検定した結果を報告する。


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