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ESJ57 一般講演(ポスター発表) P1-127

帯状伐採地に植栽された落葉広葉樹とヒノキの成長

田中 格(山梨県森林総研・富士吉田)


上木が疎開された林床における苗木の植栽可能性について検討することを目的として研究を行った。帯状伐採地に植栽され約10年を経過した苗木について、以下2項目の調査を実施した。供試樹種は、ヒノキとブナ科の落葉広葉樹であるコナラ、クリの3種である。1)林齢40年生時に樹高幅で帯状伐採した林床に植栽して約10年を経過したヒノキおよびコナラ、クリの胸高直径および樹高の毎木調査を行った。その結果、ヒノキとクリは、胸高直径、樹高のいずれにおいても皆伐地に植栽された苗木の成長と遜色ない成長を示していた。コナラについては、皆伐地に植栽された有用落葉広葉樹の成長には及ばないものの、生育そのものは可能であることが示唆された。以上のことから、帯状伐採により、落葉広葉樹のような光要求度の高い樹種の林床への植栽が可能になると推定された。2)帯状伐採地への植栽における最適な植栽範囲を検討することを目的とし、1)の調査を実施した試験地において、帯中央からの相対距離と胸高直径および樹高の関係を明らかにした。その結果、ヒノキにおいては、相対距離で約30%付近までは帯中央での成長が維持されるが、それより遠くなると低下する傾向を示した。コナラ、クリにおいては、相対距離と胸高直径および樹高の間には、いずれも負の直線相関が認められ、植栽位置が遠くなるほど成長が低下する傾向を示した。以上のことから、上木を帯状に伐採した林床への最適植栽範囲は、ヒノキで帯中央から帯幅の長さの約30%の範囲であるが、落葉広葉樹では最適な植栽範囲は認められず、帯の中心から近い場所に植栽するほど良いことが示唆された。


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