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ESJ57 一般講演(ポスター発表) P1-196

キンラン・ギンラン・ササバギンランの発生状況のちがい

寺井学,大林組技術研究所


コナラ二次林(約1.4ha)の林床に生育するキンラン,ギンラン,ササバギンランを12年間モニタリングした。2009年はキンラン397個体(449本),ギンラン89個体(89本),ササバギンラン220個体(220本)を確認した。キンランは同一個体から複数本シュートが発生するものがあった。個体数は3種とも12年間で増加傾向にある。2009年の未開花のキンランは143本(31.8%),ギンランは25本(28.1%),ササバギンランは100本(45.5%)であった。経年的な未開花率はキンラン20〜32%、ギンランは11〜44%、ササバギンランは30〜65%であった。3種とも4月下旬〜5月上旬に開花する。開花後受粉して子房が落ちなかったものは、12月までシュートの先に残っている。11月下旬から12月にかけて地上部シュートは緑色から黄褐色に退色して立ち枯れの状態になる。12月中旬頃に子房の中腹が縦に1〜3箇所裂けて種子が風に舞い周囲に散布される。2009年12月の調査で種子の得られたシュートは、キンラン2本で開花したシュートの0.7%,ギンランは30本で46.8%,ササバギンランは17本で14.2%であった。2008年の調査では、それぞれ0.7%、43.2%、11.1%であった。経年的に調査した平均草丈は,キンラン23〜28cm,ギンラン7〜9cm,ササバギンラン14〜17cmであった。

キンランは発生している場所で1〜2個体/m2程度の密度であり同じ個体が経年的に発生し続ける傾向が高い。ギンランは2〜4mの範囲内に数個体/m2の密度で集団発生し1〜2年で地上部がみられなくなるものがほとんどである。ササバギンランは両者の発生状況の特徴を併せもち,集団発生した個体のうち一部が発生しつづけていく推移が確認できた。種子の生産確率と個体サイズから、3種の発生状況のちがいについて考察を行った。


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