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ESJ57 一般講演(ポスター発表) P1-218

里山二次林における植栽イヌマキからの動物による侵入・定着

小南陽亮*, 福田悦士(静岡大・教育)


動物散布性の植物にとっては散布者となる動物は繁殖上不可欠なものであるが、一方でそれらの動物が人為的影響を媒介する可能性もある。人間の生活域に接する里山二次林では、人為的に植栽された植物からの種子が鳥類に運ばれて分散・定着するケースが少なくないと考えられ、それに起因すると推定される植生変化も報告されている。本研究では、静岡市郊外の里山二次林において、林縁部に列状に植栽されているイヌマキの散布者と定着した稚樹の分布特性を明らかにすることを目的とした。散布者については、結実木の直接観察とカメラトラップ法によって記録した。稚樹の分布特性については、植栽木を起点とするトランゼクト(100m)と植栽木から離れた林内の方形区(30m×30m)の両方におけるイヌマキ稚樹の分布を記録した。昼間の結実木に飛来した鳥類がイヌマキの種子を運び去る様子は全く観察されなかった。結実木下の地上でのカメラトラップ法では、哺乳類3種と鳥類9種が記録され、このうちタヌキ、ハクビシン、トラツグミ、シロハラ、クロツグミなどでイヌマキ種子の採食が記録され、撮影地点に置いたイヌマキ種子のうち22%が持ち去られた。トランゼクト上の稚樹の分布には、植栽木から数十m離れた複数の集中班がみられ、また100m離れた位置にも稚樹が定着していた。方形区内の稚樹分布にも集中班がみられ、動物散布性樹木の付近に多い傾向があった。このように、植栽されたイヌマキの種子が主に地上性の哺乳類やツグミ類などによって散布され、二次林内に広く分散、定着し、他の動物散布性樹木の近くなどに稚樹集団を形成していた。このことから、二次林の植生が長期にわたって人為的な影響を受け続けることが示唆される。


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