ESJ57 一般講演(ポスター発表) P1-255
*谷口武士(鳥大・乾燥地研), Kumud Acharya(DRI), 今田省吾(鳥大・乾燥地研), 山中典和(鳥大・乾燥地研)
乾燥地緑化は、乾燥地で生活する人々に不可欠な取り組みであり、このために様々な緑化技術が検討されている。菌根菌や窒素固定細菌などの植物と共生する土壌微生物を用いた手法も緑化に応用可能であると考えられるが、乾燥地で植物と共生している菌根菌や窒素固定細菌の現地調査に関する報告は少ない。
本研究では、アメリカのネバダ州に位置する乾燥地で生育するタマリスク(Tamarix ramosissima)を対象としている。本樹種はアーバスキュラー菌根菌と共生しており、耐乾性や耐塩性、そして冠水耐性に優れているため、原産地である中国では緑化樹種として注目されている。しかしながら、アメリカでは持ち込まれた後、分布域を拡大し、侵略的外来種として問題視されている。本研究では、アメリカの乾燥、および塩害の程度が異なるサイトにおけるタマリスクの葉中の塩類濃度、および菌根菌に関する調査を行うことで、乾燥地への定着に成功している樹木と共生する菌根菌群集の特徴を明らかにすることを目指している。
解析の結果、調査を行ったサイト間で土壌中のナトリウム濃度、および土壌含水率は異なっていた。また、タマリスクの葉中のナトリウム濃度もサイト間で異なっており、塩ストレスや水分ストレスが異なる条件下におけるサンプリングが達成されていた。本発表では、上記のアーバスキュラー菌根群集に関する調査結果をふまえ、塩ストレス環境下における菌根群集の特徴について議論する予定である。