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ESJ57 一般講演(ポスター発表) P2-103

水稲用箱施用農薬ベンフラカルブ施用水田と無施用水田における止水性水生昆虫の種多様性比較

渡部晃平(愛媛大・農)


水稲用箱施用農薬ベンフラカルブ施用水田と無施用水田における止水性水生昆虫の種多様性比較

渡部晃平(愛媛大学大学院連合農学研究科)

かつて日本各地で普通に見られた止水性水生昆虫類は、溜め池や田んぼを生活・繁殖場所としており、とても人間と馴染み深い昆虫であった。しかし近年の減少は著しく、今現在普通種とされている種類も、今後減少の危機に追いやられることは明白である。その中でも、比較的注目を浴びている溜め池の大型水生昆虫類に比べ、水田に生息している小型水生昆虫類の研究例は少なく、実圃場で行われた農薬による実験例や知見も極めて少ない。本研究では、水田の形状の違い・農薬の有無が、水田を生活・繁殖場所として利用する小型−中型水生昆虫類の種構成および種多様性に対して、どのような影響を与えるかを比較検討した。農薬には、現在と比べて水生昆虫類が豊かであった10年程前に、日本各地で水田害虫用に普及していたオリゼメートグランドオンコル粒剤(殺虫成分ベンフラカルブ8%)を用い、上記の比較に加えて、現在の農薬との代替の可能性も検討した。

採集された水生昆虫類の種類と1mの掬い採り一回あたりの平均個体数を用いて、Detrended Correspondence Analysis (DCA)による序列化、3つの多様度指数(Simpson指数1/D、Shannon-Wiener指数H’、 Pielouの一様度指数J’)の算出を行った結果、明渠の有無、上記農薬の有無により、水田における止水性水生昆虫類の種構成、種多様性は異なるという結果が認められた。結果より、種への直接的な影響と、農薬の有無によるヤゴの密度差からの間接的な影響が示唆されたが、全国的な希少種として知られるマダラコガシラミズムシが農薬施用圃場で多産したことから、近年の水生昆虫類の減少要因は農薬の影響だけでは説明ができないことも分かった。


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