ESJ57 一般講演(ポスター発表) P2-311
*竹田千尋(農工大・農),梶光一(農工大・農),田村哲生(東京農総研),伊吾田宏正(酪大・環境),吉田剛司(酪大・環境),高橋裕史(森林総研),土屋誠一郎(酪大・酪農)
ニホンジカ(以下,シカ)による強度な採食圧が長期間継続している森林において,その嗜好性植物が消失したにも関わらず,シカの高密度状態は維持されている.そこで筆者らはこのように高密度が維持されているメカニズムを解明するため,過去に個体数が爆発的に増加し,嗜好性植物が消失したにも関わらずシカの高密度状態が保たれている洞爺湖中島において,採餌場所の特定をすることを目的に,シカにアクティビティセンサー(以下,センサー)付きのGPS首輪を装着し,行動追跡調査をおこなっている.
同センサーは,首輪が縦,横方向に振れた回数を記録するものであり,先行研究においてセンサーのデータは様々な動物の活動量の指標として利用されている.シカは活動時間の多くを採餌に費やしていると考えられるため,GPSの各測位地点におけるシカの活動量が明らかになれば,採餌場所の特定につながるであろう.洞爺湖の調査ではTellus社製のGPS首輪(モデル:5H1D)を使用しているが,同モデルの首輪を用いてセンサーと活動量の検証をおこなった研究はないため,シカの実際の行動と照らし合わせ,検証する必要がある.野生個体は警戒心が強く直接観察が困難であるため,本研究では飼育下にあり人慣れしたシカを用いて検証した.検証にあたりGPS首輪は15分ごとに活動量の記録をおこなうように設定した。センサーのデータの取得と直接観察は,メス1頭を用いて9月上旬の日中(9時〜16時)に4日間連続で、10月中旬に別のメス1頭を用いて同時間帯に3日間連続でおこなった。行動の記録にはビデオカメラを用いた.本発表ではこれらの記録から,センサーと活動量の検証をおこなう.