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ESJ57 一般講演(ポスター発表) P3-083

絶滅危惧植物が多く出現した環境保全型農法水田の一事例 ―1年目有機農法水田と慣行型水田の比較―

*長船裕紀(地域環境計画),山崎瞬


近代農業では、農薬や化学肥料を多用し、稲作においても生産性と効率性が重視されてきた。しかし近年、野生生物の重要な生息場所といった、水田の有する多面的機能が見直されるとともに、自然循環機能の維持増進、および、食の安全性に対する関心が高まり、水田生態系に配慮した、有機農業の実践が見られるようになった。しかし、有機農業水田における水生動植物の特徴は不明な点が多く、解明が望まれている。

本調査では、十和田市において昨年まで慣行農法だった、1年目の有機農法水田(以下、有機水田)と、隣接する慣行型水田の出現水生植物を調べた。

その結果、有機水田では慣行型水田より多くの種類が確認された。また有機水田ではイチョウウキゴケ、サンショウモ、イヌタヌキモほかイバラモ科のレッドデータ種が多く確認された。一方慣行型水田では、レッドデータ種はシャジクモの1種のみであった。よって有機水田では、慣行型水田よりそれらレッドデータ種の生育しやすい環境であったといえる。

(本調査では、1年目有機農法水田の昨年までの慣行型水田での水生植物の出現状況は不明なため、同じ水田での農法転換後の変化は把握できない。しかしながら両水田は、隣接し同じ灌漑用水を取水していることから、慣行型水田から有機農法水田へ移行する1年目の状況の一事例として参考にしていただきたい。両水田の営農管理の違い、水温・水質、稲の生長、水生昆虫なども合せて紹介する。)


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