ESJ57 一般講演(ポスター発表) P3-150
*田口勇輝(京大院・地球環境/兵庫県大・自然環境),栃本武良(日本ハンザキ研),夏原由博(京大院・地球環境)
オオサンショウウオAndrias japonicusの採餌生態を明らかにして効果的な調査の時間帯を提案するため、春季(2006年4月)と秋季(2009年9月)に連続7夜の調査を行った。兵庫県朝来市を流れる市川水系市川200m区間を、夕方18時から朝6時まで2時間毎に踏査した。本種は夜行性の両生類で、夜になると、隠れ場所である巨礫や岸辺のえぐれから河床へ出現して、待ち伏せ型の採餌行動を行う。個体を発見すると、アンテナリーダーでPITタグを読み取り、捕獲せず個体識別を行った。調査の結果、春季では35個体(のべ231回)、秋季では58個体(のべ403回)を確認できた。個体の出現回数は7日あたり2回以下のものが春秋ともに大半(6割以上)を占め、春季では2.3±1.8回(Mean±SD)、秋季では2.6±1.8回であり、季節による出現回数の差は見られなかった(p = 0.17)。つまり、平均して3日に1度ほど出現するということになる。7日連続で出現した個体は、春季では1個体、秋季では5個体であったが、1個体は春秋ともに毎日出現していた。一方、時間毎の出現傾向についても春秋ともに同じ傾向を示し、日暮れ時の18時台に少数の出現が見られた後、20時台でピークとなり、24時台までは多くの個体を発見できた。また、2時台、4時台でも、ピーク時の半数程度の出現個体があったが、夜明けに差し掛かる6時台ではごく少数の個体のみしか確認できなかった。以上のことから、本種は日暮れの後しばらくして個体が採餌のために出現し、それらの個体は徐々に減少することが分かった。よって、個体を発見する調査を効果的に行うためには、日暮れ1時間後くらいにあたる20〜22時に調査することが最も望ましく、最低でも3日連続の調査を行う必要があると考えられた。