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ESJ57 一般講演(ポスター発表) P3-182

人工干潟の生物分布特性は,どのように自然状態に近づくか? その1:シオマネキの場合

*大田直友(阿南高専・建設システム工),河井崇(阿南高専・地域連携テクノセ)


ねらい:干潟再生に向けた取り組みにおいて工学的な研究が先行する中,自然干潟に匹敵する生物多様性や生態系機能を有した干潟の創出の実現のためには,生態学的比較研究・実験的検証により,人工・自然干潟間における生物分布特性及びその制限要因の解明が必要である.

徳島県阿南市大潟干潟は,埋め立て工事の過程で偶然創出された人工干潟である.干潟の底質は細粒分が90%以上をしめる浚渫土と,70%以上が粗粒分からなる山土からなる.工事後10数年経過した現在,多くの希少種が確認されている.本研究では,高〜中潮位域に優占し性質の大きく異なる希少種シオマネキとフトヘナタリに注目して,密度モニタリング,底質入れ替え実験,及び自然干潟との比較を行い,分布特性を比較検証した.

方法と結果:シオマネキは,細粒分からなる浚渫土区に高密度に生息しており,山土区での分布は確認されなかった.そこで,シオマネキの分布と底質との関連性解明のため,底質入れ替え実験を行った.2007年4月,浚渫土区に隣接した山土区に,幅2m長さ16m深さ0.5mの溝を10本,海岸線と垂直方向に掘り,そのうち5本の溝には眼前の漁港内から採取した浚渫土を投入し(浚渫土実験区),残り5本には掘り返した山土(山土実験区)を再び埋め戻した.その後3年間シオマネキの密度調査を継続している.

シオマネキは実験開始4ヵ月後から浚渫土実験区においてのみ顕著に出現が確認され,その傾向は現在も維持されている.また,実験開始初年度,密度は浚渫土実験区において著しく上昇したが,2年目以降密度の増加はみられなかった.一方,新規加入後2年未満の小型個体はほとんど確認されなかった.さらに,浚渫土実験区の密度は,自然干潟である勝浦川河口干潟の約1/5倍であった.

考察:その2へ.

本報告は,水産庁・水産基盤整備調査委託事業の成果の一部である.


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