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ESJ57 一般講演(ポスター発表) P3-228

木更津市の谷津田地域に侵入したタイワンシジミの分布

*湯谷賢太郎(木更津高専・環都),竹内敦(木更津高専・環都)


タイワンシジミ(Corbicula fluminea)は東アジア原産の淡水二枚貝である。その生態はマシジミ(Corbicula leana)に似ており,雌雄同体で繁殖力はマシジミよりも強いと言われている。現在,分布は世界中に拡大しており,各地で問題視されている。我が国では1985年ごろに見出され,その後,日本全国で見られるようになった。日本全国に入り込んでいる外来生物でありながら,その環境や生態系への影響は元より,分布に関して不明な点が多い。それは,タイワンシジミの形態的特徴がマシジミに近く,しばしばマシジミと間違われることが一因である。また,タイワンシジミの侵入経路として,調理時に排水と一緒に排出された稚貝が排出先の水路や河川に定着することが疑われており,侵入経路を特定しにくいこともタイワンシジミの研究を難しくしている。

木更津市の谷津田地域は,多くの谷津が上流に湧水とそれを受ける溜池を有し,かつては非常に貴重な環境を維持していた。しかし,農業用水路の改修や圃場整備などにより,かつて生息していたマツカサガイやドブガイは姿を消し,替わりにタイワンシジミばかりが見られるようになった。過去の正確な情報に乏しく,侵入拡大過程を調査することは困難であるが,現状を記録し,今後の推移を注視するため,タイワンシジミの分布調査を行った。

調査は,水路に泥や砂が溜まっている場所を中心に,貝取りジョレンやシャベルとふるいを用いて行った。調査の結果,形態的特徴から数パターンのタイワンシジミが確認され,三面コンクリート水路から,自然の土水路まで非常に幅広い環境で生息が確認された。また,家庭排水の流入が無いと考えられ,下流からの生物の移動が困難な場所においてもタイワンシジミの侵入が見られ,複数の侵入経路が有ることが疑われた。


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