ESJ57 一般講演(ポスター発表) P3-251
*玉垣政博(信州大・農), 大窪久美子(信州大・農)
霧ヶ峰高原では1970年代にはすでに外来植物の侵入,定着が確認されており,在来種や生態系への影響が問題とされてきた。本研究では希少な草原植生を保全,復元するための基礎的知見を得るため,外来植物,特にヒメジョオン類とマツヨイグサ類の分布と立地条件を把握し,これらの関係性について解明することを目的とした。
分布調査は強清水や沢渡等の8地域で実施した。各調査地域は500m×500m(25ha)で,3次メッシュを基準にした50mメッシュを設定し,その交点(121箇所)を中心とする半径5m以内(約78.5m2)を1地点とし,計968地点について2009年8月〜9月に外来植物の優占度を測定した。優占度は調査面積に対する外来植物の被覆面積とし,7段階を設定した。また,同地点のうち180地点(約19%)において立地環境(傾斜,傾斜方位,標高,道路からの距離)を測定,記録した。
ヘラバヒメジョオンの分布は全体の約43%(415地点),ヒメジョオンは約8%(78地点),メマツヨイグサは約43%(419地点)だった。優占度階級の出現頻度は,ヘラバヒメジョオンは「被覆無」が約57%(553地点),「優占度2以上:被覆率10%以上」が約13%(125地点)で,メマツヨイグサは「無」が約57%(549地点),「優占度2以上」が約6%(57地点)だった。また,立地条件では標高が約1700m以上の地点ではヒメジョオン類とマツヨイグサ類の分布率は低かった。傾斜角度についてはヘラバヒメジョオンが0〜10°で,マツヨイグサ類は5〜10°での分布が高かった。道路との距離では,両種ともに道路から約30m以内において多く分布していたが,100m以上離れた草原内においても分布していた。発表では外来種と管理状況や車道の建設履歴等との関係についても考察する予定である。