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ESJ57 一般講演(ポスター発表) P3-301

乾燥程度の異なるモンゴル草原生態系において放牧による被食が土壌化学性の空間的不均質性に与える影響

*近藤順治,廣部宗(岡大院・環境),Enkhbaatar Altangerel(モンゴル・地理生態研),Amartuvshin Narantsetseg(モンゴル・植物研),藤田昇(京大・生態研),坂本圭児,吉川賢(岡大院・環境)


小さな空間規模(<10m)での土壌環境の空間構造は、被覆する植生の構造によって異なる。たとえば、草原ではランダムな空間構造を示すが、植物が不連続に存在するような潅木地帯では、植物による養分の集中化により空間構造が発達する。一方、大型哺乳類による採食は、地上部の除去や排泄物の供給などを通じて、土壌環境の空間的不均質性を変化させる。そこで本研究では、気候に伴う植生変化と大型哺乳類の活動との相互作用に注目した。モンゴルでは、乾燥程度の違いにより北部の森林ステップ、中部のステップ、南部のゴビステップへと草原生態系タイプが変化するとともに、大型哺乳類の放牧による被食を受ける。そのため乾燥程度の異なる3つのモンゴル草原生態系において、放牧による被食の有無と土壌化学性の空間的不均質性との関係を明らかにすることを目的とした。3タイプの草原生態系において、被食防護柵の内外それぞれ96ヶ所で表層土壌(0-5cm)を採取し、土壌化学性を測定した。セミバリオグラムにより空間構造の定量化を試みた結果、森林ステップとステップの柵内およびゴビステップの柵外では、ほぼランダムな空間構造を示した。一方、森林ステップの柵外ではパッチ構造は検出されなかったものの、中程度の空間依存性を示し、ステップの柵外およびゴビステップの柵内では3-5mのパッチ構造が検出された。これらから、モンゴルの森林ステップおよびステップでは被食により土壌養分の空間的不均質性が増大するが、ゴビステップでは低下すると考えられた。


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