ESJ57 一般講演(ポスター発表) P3-332
*田中真哉・高橋與明(森林総研)・齋藤英樹(森林総研・九州)・粟屋善雄(岐阜大・流科セ)・平田泰雅・家原敏郎・松本光朗(森林総研)・酒井徹(地球研)
衛星リモートセンシングから得られる土地被覆分類図は広域の資源量を把握するために、また、近年は炭素収支を予測するモデルへのインプットとして必要不可欠である。衛星で観測されるスペクトルは土地被覆やその状態、また太陽との位置関係などによって異なり、とりわけ植物のスペクトルは、展葉、黄葉、落葉などによって大きく季節変化する。そのため、これらのフェノロジー特性を考慮し、影響を除去あるいは利用することが分類精度の向上に有効である。本研究では季節の異なる多時期の衛星データ(Landsat ETM+)を利用することにより、北海道東部(path106-row030)を対象として常緑針葉樹林、落葉針葉樹林、落葉広葉樹林の森林3タイプを含む土地被覆分類図の作成法を検討した。
1999年から2002年の春・夏・秋に取得された8シーンのETM+(レベル1T)データを着葉期と落葉期を含むように組み合わせ、ISODATA法によって分類した。分類精度はシーンの増加によって高くなり、誤分類を減少させた。また、常緑針葉樹林と落葉広葉樹林の中間的な分光特性を持ち、かつ落葉広葉樹と類似した季節変化を示す落葉針葉樹を他の森林タイプと分離することが可能だった。多時期データの利用は簡便な手法ながら、森林タイプを良好に分類し、土地被覆分類の精度を向上させることがわかった。一方で、落葉広葉樹と草地を中心とした非森林植生の間では分離できないピクセルが残った。対象地では落葉広葉樹と類似した季節変化を示す草地が大規模に広がっており、直達光の入射強度などの条件でスペクトルが類似するためと思われた。