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ESJ58 企画集会 T11-4

形質、遺伝子、適応をつなぐ−新しい多様性生物学への挑戦−

奥山雄大(科博・植物)


近年の進化生物学では、生物の多様な形質が生じている原因を、生物種間の比較によって統計的に明らかにする手法を発展させてきた。生物種は相互に系統関係によって結ばれており統計的に独立な点ではないが、分子系統樹を用いた比較法(phylogenetic comparative method; Martins, 2000)はこの問題を解消することができる。この手法はこれまでおもに、生物の多様な形質が生じた生態的要因を解析するために発展してきたが、原理的には種間で比較可能なあらゆる定量デ-タに応用することができる。

本発表では、オミクス的デ-タに分子系統樹を用いた比較法を応用し、従来形質と遺伝子型をつなぐことが極めて困難であった非モデル生物であるユキノシタ科チャルメルソウの仲間において、天然物生合成の原因遺伝子の有力な候補を絞り込んだ研究例を紹介する。また本研究アプロ-チを拡張して、分類学が蓄積してきた生物の多様な形質情報を、それを支配する原因遺伝子配列に帰する研究アプロ-チの展望について議論したい。


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