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2015年5月発行ニュースレター (No.36) 掲載

第62回日本生態学会大会(鹿児島)総括報告

吉田丈人(鹿児島大会大会企画委員長)

鹿児島大会(ESJ62)は、2015 年3 月18 日(水)〜 22 日(日)に、鹿児島大学および鹿児島市民文化ホー ルで開催されました。大会のもっとも重要な成果は、生 態学に関する幅広い学術的な交流や生態学者自身の学び や経験の機会提供だと思いますが、その評価は参加者の 皆さんにお任せするとして、ここでは、これらの機会を 提供する場として、鹿児島大会がどのように運営された かを簡単に報告します。すべての大会運営関係者による 報告をまとめることは難しく、ここには書ききれないご 苦労があったことと思いますが、どうぞご容赦ください。  毎年の大会は、開催地の地区会で組織される大会実行 委員会、定常的な学会組織である大会企画委員会、学会 事務局、および、学会執行部によって、企画運営されて います。鹿児島大会では、鈴木英治大会会長・山本智子 大会実行委員長をはじめとする大会実行委員会は24 名 (アルバイト含まず)、大会企画委員会は6 部会68 名で 組織されました。そのほかにも、各種発表賞の審査委員 (下記の謝辞参照)やアルバイトなど、数多くの方々に 支えられて、鹿児島大会は予定通りに終了しました。こ の場を借りて皆様にお礼を申し上げます。ありがとうご ざいました。お疲れ様でした。

鹿児島大会の参加者は、一般・学生・学部学生以下参 加者1943 名、高校生115 名、招聘・招待講演者36 名で、 計2094 名(自由集会のみ参加者・公開講演会のみ参加 者を含めず)となりました。大会の基本的な枠組みはこ れまでの大会を踏襲し、シンポジウム12 件、一般講演 1032 件(口頭発表136 件、ポスター発表866 件(ポス ター賞応募402 件)、英語口頭発表30 件(賞応募数))、 フォーラム11 件、企画集会19 件、自由集会29 件、高 校生ポスター発表29 件となりました。このうち、英語 での発表は一定の割合であり、すべての時間帯で英語発 表があるまでには至りませんが、大会の国際化はここ数 年で着実に進みつつあります。また、高校生ポスター発 表に加えて、「みんなのジュニア生態学講座:高校生と 若手研究者の交流会」が新たに開催され、次世代の育成 に向けた取組みも進んでいます。さらに、公開講演会「南 西諸島の生物多様性、その成立と保全」が開催され、講 演内容をまとめた冊子「エコロジー講座8」と合わせて、 生態学の社会への発信もされました。また、非会員によ る招待講演も多く、ほかの学術分野や行政や民間会社な どの関係者との交流もありました。一方、数多くの講演 の内容は多岐にわたっており、一般講演の発表分野は今 回統廃合されたものの22 分野にもなり、生態学の幅広 さを改めて実感できたと思います。さらに、学会の各種 の委員会や理事会によって、日頃の委員会・理事会活動 に関連したさまざまな内容のフォーラムが開催され、学 術的な交流だけでなく、広い意味でのキャリア教育が実 施されたり、社会貢献が議論されました。また、大会参 加者の交流の場として、数々の薩摩料理や地酒が振る舞 われた懇親会も開催されました。加えて、二カ所に分散 した会場の使用計画と諸々の管理運営、託児室やファミ リー休憩室の開設と運営、企業などの展示、収支計画や 出納管理の会計、想定される万一の事態に備えての危機 管理体制、昼食や買い物などに便利なマップ配布など、 目に見える所も見えない所も、細部にわたる配慮がなさ れて大会が運営されており、そのほとんどは会員による ボランティア作業に支えられています。

持続的な大会運営に向けて

このように多くの会員ボランティアによって支えられ ている大会運営をよく見てみると、実は、持続性の観点 では、綱渡りのような状況であることが見えてきます。 たとえば、各種の集会や一般講演の申し込みをする大会 登録システムは、ある会員個人によって作られています し、そのシステムを動かしているサーバーは、また別の 会員個人によって支えられています。また、大会のさま ざまな運営は会員によるボランティア作業で成り立って いますが、その中には、大会運営に専念するために、本 来の会員としての学会参加の機会が失われている会員も 少なからずいます。持続的な大会運営とは言いがたい現 在の状況は、学会執行部や多くの会員にすでに理解され ており、状況を改善するための取組みが進みつつありま す。

齊藤隆学会長のもとに、2 つの部会がつくられていま す。1 つは運営改革作業部会で、もう1 つは大会のあり 方検討部会です。運営改革作業部会は、2014 年3 月の 広島大会で組織され、元大会企画委員長の陀安一郎座長 のもと、学会執行部と事務局に加えて、電子情報委員会 や大会企画委員会の現旧委員が参加しています。この部 会では、会員管理と大会運営のための電子システムの改 革が検討され、その導入に向けた作業が進んでいます。 大会参加者にとっては、大会登録システムや参加費支払 などで新しいシステムを利用することになります。大会 運営関係者にとっては、持続的な大会登録システムとな るだけでなく、ボランティア作業の負担軽減につながる ことが期待されています。電子システムの詳細は現在検 討が進んでいますが、2017 年春の東京大会から導入さ れることが予定されています。

もう1 つの大会のあり方検討部会は、上記の電子シス テム改革だけでは解決できない、大会運営のボランティ ア作業の負担軽減を中心に、今後の大会のあり方につい て検討を行うものです。大会のあり方検討部会は、鹿児 島大会で組織され、学会執行部と事務局に加えて、大会 企画委員会と大会実行委員会の現旧委員が参加していま す(私は座長を拝命)。部会での検討は始まったばかり ですが、2015 〜 2016 年の2 年間で検討をまとめ、2018 年春の北海道地区での大会から改革が実施できるように 予定しています。大会のあり方の変更は、会員の皆さん にとっても大会運営関係者にとっても重要ですので、幅 広くご意見を伺いながら検討を進めて行く予定です。

来年3 月の仙台大会は、半谷吾郎大会企画委員長、中 静透大会会長、占部城太郎大会実行委員長のもと、すで に準備が進んでいます。上記の電子システム改革や大会 改革は今後に進みますので、仙台大会は、現在までの運 営体制を継続した最後の大会となります。従来と変わら ない多大なボランティア作業によって支えられる大会で あることを覚えつつ、中静大会会長が懇親会で歓迎の挨 拶をされたように、仙台大会が、多くの意味で成功の機 会となることをお祈りしています。

謝辞

大会運営関係者に加えて、実に多くの方々に支えられ て、鹿児島大会が開催されました。ここに記して、皆さ んに謝意を表したいと思います。

みんなのジュニア生態学講座では、塩尻かおりさん、 高橋佑磨さん、山北剛久さんの三氏に講演していただき、 大変好評だった新企画を支えていただきました。

一般講演のポスター賞、英語口頭発表賞、高校生ポス ター賞では、数多くの審査委員(下記参照)に時間をさ いて丁寧な審査を担当していただきました。

共立出版株式会社とシュプリンガー・ジャパン株式会 社には、それぞれ高校生ポスター賞と英語口頭発表賞の 副賞を提供していただきました。

皆様、どうもありがとうございました。

ポスター賞 審査委員(敬称略):

阿部晴恵、綾部慈子、安東義乃、飯島勇人、池田紘士、 市野川桃子、井出純哉、井上みずき、今井伸夫、岩崎雄 一、内田圭、大園享司、大谷雅人、大場孝裕、小笠真由 美、奥野正樹、小長谷啓介、香月雅子、壁谷大介、川北 篤、岸茂樹、木村一貴、栗山武夫、小北智之、小林慶子、 小山耕平、今野浩太郎、佐伯いく代、酒井陽一郎、阪口 翔太、坂本亮太、櫻井麗賀、佐藤綾、澤田佳宏、鈴木一 平、清野達之、高橋大輔、高原輝彦、辰巳晋一、田中幸 一、田邉晶史、千葉晋、角田裕志、鶴井香織、土居秀幸、 土光智子、内藤和明、中川光、中島祐一、永田尚志、中 野大助、永松大、西尾孝佳、仁科一哉、西村愛子、橋本 徹、長谷川元洋、畑田彩、畑憲治、早矢仕有子、原村隆 司、比嘉基紀、平吹喜彦、平山寛之、廣田峻、藤嶽暢英、 古川拓哉、星崎和彦、細石真吾、松木悠、宮下彩奈、宮 本和樹、山浦悠一、山岸洋貴、山田勝雅、このほか匿名 の方10 名

英語口頭発表賞 審査委員(敬称略):

井鷺裕司、潮雅之、大手信人、大橋瑞江、久米朋宣、小 泉逸郎、佐藤幸恵、鈴木英治、高橋一男、田中健太、辻 和希、兵藤不二夫、藤井一至、Masami Fujiwara、三木健、 吉村仁

高校生ポスター賞 審査委員(敬称略):

丑丸敦史、内井喜美子、大西尚樹、高原輝彦、竹下俊治、 玉田克巳、土居秀幸、中井咲織、西脇亜也、畑田彩、平 山大輔、広瀬祐司、宮田理恵、山本哲史、和田直也、こ のほか匿名の方1 名