資料編

読図・測位・歩行法

1.よく使う地図

(1)2万5000分の1地形図

 通常のフィールド調査で最もよく使う1/25000地形図は国土地理院が発行し日本地図センターが販売する。地図は書店・登山用具点での販売、日本地図センターHPからの注文などで入手できる。また、数年前に国土地理院HPからの印刷も可能となり、非常に便利になっている。

 国土地理院(http://www.gsi.go.jp/tizu-kutyu.html

 日本地図センター(http://www.jmc.or.jp

(2)5000分の1地形図

 大学演習林や国有林、民有林では、森林管理のために独自に1/5000程度の縮尺の地図(施業図)を備えている場所が多い。一般向けに販売されていないので、入手する場合は森林管理者や施設管理者に問い合わせて用途を伝えた上で複写してもらう。精度が高く、森林調査には好適である。

(3)登山地図

 登山の対象となるような山域では登山道や歩行時の所要時間、危険箇所などを記した登山地図が刊行されている。登山道の位置や整備状態は実地調査がされているので1/25000よりも正確。調査地へのアプローチには有効活用できる。

 昭文社(山と高原地図)(http://www.mapple.co.jp/publ/yama.html

 北海道地図(http://www.hcc.co.jp/publication/product/mountain/mountain.html

(4)デジタル地図

 ハンディGPS内に1/25000図を内蔵した第三世代ハンディ機の登場により、国内の山中や沿岸部での現在位置確認作業は革命的に変わりつつある。現時点では10万円以上と高価ではあるが、今後は一般化されるだろう。また、国土地理院数値地図情報などを用いてPC内で鳥瞰図を作成する作業が簡単にできるようになったことも大きな変化だろう。ただし、これらのデジタルデバイスはフィールドにおいては決して万能ではなく、従来の読図の重要性になんら変わるところはない。

2.測地系

 測地系が異なると、同じ地点でも緯度経度が異なったり、同じ緯度経度の指す点が実はちがった場所だったりすることが起こる。従来の日本の測地系は、改正測量法施行前(2002年以前)は旧東京天文台の日本経緯度原点を基準とし、ベッセル楕円体を使用した基準点網で構築されていた。これを日本測地系という。日本測地系は明治時代以来の伝統的なものだが、近年の計測技術の発達と共に国際標準から遊離した日本独自の規格になっていった。このため、2002年に測量法が改正され、国内の測地系も世界測地系(日本測地系2000と呼ぶこともある)に移行した。このため、世界測地系では従来の地図からの緯度経度表記の変換が必要である。日本測地系の地図座標を世界測地系の地図に当てはめた場合、同じ緯度経度の場所が東京付近で北西方向に約450mずれている。GPSを使用してWGS84座標系(GPSの設定画面で座標系を変更できるが、デフォルトはWGS84が多い)などで緯度経度を求めている場合、これを地図上に落とす場合には地図に用いられている座標系を確認する。日本測地系の場合に変換が必要である。最新の1/25000図は両者の座標を併記している。

3.コンパスの使い方

(1)磁北と偏差

 磁石の指す磁北は実際の北極点とは位置がずれており、カナダ北部にある。このため、磁石の指す「北」と地図上の「真北」はずれてしまい、日本付近では磁石は真北よりも6度から8度西を指す。このずれは、山岳地などでは無視できない場合も多いので、地図中に磁北線を描き入れたり(7度西に向けた線を鉛筆で描き入れておく)、コンパスの目盛板で補正したりして真北を正確にだしてやる。特に、接近した複数のピークの識別や分岐する尾根の方向などを地図上で判断する場合には偏差の補正は重要になる。偏差補正を積極的に行う場合は、オリエンテーリング用コンパスを用いる。 

4.GPSによる測位

(1)GPSの精度
(2)GPSの使い方

5.道のない山の歩き方

6.道を失った場合の脱出