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会長からのメッセージ −その15−

 メッセージ原稿を送るのが遅れました。落ち込み気味だったからです。
 メッセージといっても、会員に伝えるべきことはほとんどなくて、年寄りの単なる自慢話ではないかと思い始めて、少々自己嫌悪気味だったことによります。
 でも、最初の目的が「更新する」ということであったから、メッセージ性があってもなくても、駄文を続ければよいのだと居直って「とりあえず投稿」することにいたしました。駄文も続ければ名文と化す?そんなことはないか。

「用水路」

 いま住んでいる野々市町というのは手取川の扇状地の上にある小さな面積の町である。西側に歩くと10分くらいで金沢市になってしまうし、東側にも15分くらい歩けば白山市に突き抜けてしまう。南側もほぼ同じくらいの距離で鶴来町(現在は合併して白山市)。北側だけは少し長いが、それでも自動車で10分走れば金沢市である。町のなかには手取川からとられた用水路が流れている。幹線の水路は7本あって、七か用水と言われ、それぞれに名前がついている。例えば富樫用水とか。(実はこれ以外は知らない)。この富樫というのは勧進帳に出てくる富樫と同族の土地の豪族だと思うけれども、詳しいことは知らない。そういえば、小松空港の近くに安宅の関跡があって、銅像が立っているな。幹線水路の幅は1間半ほどもあり、深さも1m以上はあり、いつでも流れは速く、往くものはかくのごときか、というふうに流れている。雨が降らない時期でも、流れがゆるやかになることはない。上流に大きな手取りダムがあり、さらに上流には白山の雪渓が、大きなダムとなっている。幹線水路にはあちこちに小さな水門があって、大小さまざまな用水路に分かれる。もっとも細いものは幅1尺程度になる。下水溝のようなところにも水が流れていたりする。残念ながら、私どもの住んでいる家の前の溝はただの下水溝である。 もちろんこの用水は農業用水路であって、田圃に水が引き込まれる。しかし、最近の田圃は乾田であって、田植え時以外はあまり水を使っている様子もない。大半の水は、使われもせずに流れていっているように見える。

 そこで話は急に飛躍するのだが、植物の蒸散というのも、こんなものではないかと思い立った。たとえば、光合成によって植物に同化される水の量というものは、蒸散量の1%以下であろう。とすると、必要とするよりも、はるかに大量の水をとにかく流していることが必要なのかもしれない。必要量を確保するためには、それだけを常時流しておく必要があるということなのだろうか。僕にはどうも、こういった最も基本的なところが呑み込めていない。

 実は、農業用水についても十分理解できていないこと、植物生理と同じである。というのでこちらのほうは、農地排水の専門家であるM先生にお伺いしてみることにする。いや、水の利用率はそんなに低くはない、1以上に達するのではないか、ということであった。つまり100%以上、ならしていえば、1回は必ず使われているということだ。私にはそうは見えないのだが。今日もとどまるところを知らず、流れ続けているように見えている。今度は、酒席でないところで質問してみよう。

 ところで、前回の駄文で「早めに準備をしておけば締め切りを心配することがない」というようなことを書いたが、それは間違い。準備したことを忘れてしまって、「あ!あれはどうした」などと思うからである。それであわてて準備にかかって、そのうち、「こういうことは前に書いたぞ」と既視感が走り、それからファイルを探して、準備してあったのを発見することがある。

▲これは幹線水路です。直接田圃に引き込めるような水門がところどころにあります。この水路沿いの道はジョギングのコースでもある。