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日本生態学会全国大会

なぜ融通が効かないのか - 締め切り厳守をお願いする理由

2007-12-26
更新: 2017-08-17

日本生態学会の全国大会では、講演申し込み、要旨の登録、シンポジウムや自由集会の企画提案などの締め切り厳守をお願いしています。 締め切り後の追加や変更は受付けていません。 発表日時の調整など、個別の依頼にも対応していません。 この文章は、なぜそんなに融通が効かないのかをご説明し、ご理解・ご協力をお願いするためのものです。

大会運営の外注化と会員ボランティアによる作業が必要な部分

日本生態学会の全国大会は、大会企画委員会と大会実行委員会という二つの組織が連携して運営しています。前者は全国の会員から選任された委員からなる常設組織、後者は開催地の会員が中心の組織です。いずれの委員も学会運営の専従者ではありません。

大会運営を持続的に行うため、ESJ64から一部の作業を外注化するなど、省力化に取り組んできました。しかし、シンポジウムなど集会の割り振りやプログラム編成、若手のための発表賞に関する作業など、研究者でなくてはできないことも多く、その部分はボランティアである大会企画委員と大会実行委員に頼らざるを得ません。以下でご説明するように、締め切り厳守と個別対応のお断りは、会員ボランティアによって大会を続けていくためにどうしても必要なお願いです。

1000件の自動処理よりも1件の締切後の手作業のほうが大変

現在、生態学会の全国大会には2,000人以上が参加しており、たとえば64回大会では一般講演の総数は約1,300件以上にのぼりました。 また、シンポジウム、自由集会などの企画は60件以上になりました。

この規模の大会を運営していくため、大会に関するさまざまな処理はオンライン化されています。ところが、 登録などを締め切った後変更を加えるのは手作業です。 一括処理のシステムを作ってしまえば 1,000件も2,000件も処理の手間は変わりませんが、手作業が一件でも加わるとたちまちめんどうなことになります。それも一ヶ所だけでなく、プログラム、参加者リスト、要旨集、およびこれらのウェブ掲載版 などで不整合が生じないように気をつけながら修正するのは、とても神経を使う仕事です。 省力化のためだけでなく、ミスの混入を避けるとういう観点からも、手作業での修正は大敵です。

これ以上難しいパズルは解けません

多数の口頭発表、ポスター発表、集会の割り振り作業はそれだけで大変な作業です。プログラム編成の担当者は、限られた日数と会場に、頭をしぼって割り振っていきます。

それに加えて、この集会は何日めにして欲しい、自分の発表日はこの日は避けてほしい、このポスターはあのポスターと関連するので隣に並べてほしい、といった要望にまで 個別に対応するとなったらどうでしょうか。ひとつだけの要望ならまだしも、何件もの要望の連立解を求めることのむずかしさは想像にかたくないでしょう。

締め切り破りを認めると、運営担当者のスケジュールはぼろぼろに

事前に必要となる大会運営作業を大会までに終えるため、それにかかる時間を 逆算することによって、各種締切などの日程が設定されています。その作業を行っているのは、最初にもご説明したように、参加者の皆さんと同じ、ふつうの学会員です。大会運営の作業日程をにらみながら、研究・教育・その他の仕事と時間のやりくりをしています。締め切りに遅れた人、あとからの修正依頼などに対応していると、あらかじめ立てていたスケジュールが崩れてしまい、本来の業務との調整も破綻しかねません。 参加者の皆さんに締め切りを守っていただくこと、個別の対応はあきらめていただくことは、運営担当者が学会業務と他の仕事とを両立させるために不可欠の条件です。

「100人に1人」でも1000人いれば10人

依頼者から見れば、自分一人くらいなら融通をきかせてもらってもたいした手間ではないと思われるかもしれません。けれども、運営担当者は 1,300件以上の講演と2,000人以上の参加者に対応しています。100人に1人の「特別な事情」に対応しようとすると、10人、15人に対応することになってしまいます。お断りのメールを送るだけでもかなりの時間を要します。ですから、問い合わせ送信ページには、そうしたメールをいただいてもお返事はいたしませんと明記しています。

大会ページを見ていただけば分かる事項の問い合わせも多く、こうした問合わせをされるのは数十人に一人のことですが、一般講演の申し込みや要旨の登録締め切り日は、こうしたメールへの対応で担当者の一日が終ってしまいます。2,000人は侮れない規模で、それなりの運営方針が必要です。

「特別な事情」の公平な判断はできない

病気、コンピュータのトラブル、共著者への義理、うっかりミス、さらにはこの一年間の研究の苦労など、さまざまな事情をあげながら追加登録や変更の依頼をされるメールもいただきます。けれども、認める認めないの判断をどなたにも納得いただけるように下すことはできません。 認められなかった方にはつねに不公平感が残るでしょう。事情にかかわらず一律に処理するのが一番公平であり、企画委員会・実行委員会への信頼を損なわない方法でもあると考えています。

さらに、個々のご希望にどう対応したらよいかを担当者のあいだでメール議論し、 方針を決め、お答えし、さらに寄せられるご希望への対応を相談し…といったプロセスも、運営にあたる会員の時間と精神的なエネルギーを消費することになります。また、「特別な事情」への対応方針が決まるまでの間、他の大会運営作業も中断を余儀なくされ、結局は特段の対応をしないことになった場合でも、多くの担当者にその余波が広がることもありました。そうした苦い経験を積み重ねながら、締め切り厳守に例外なしという基本方針が 作られてきました。

早めの準備でみんな幸せに

以上が、締め切り厳守、個別対応のお断りという方針の背景です。決していじわるをしている訳ではありません

それでもなお「1日、いや1時間の遅れぐらいはいいじゃないか」と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、それを待っていては運営の作業は始められません。締め切りを時刻まで決めているから作業の計画が立てられます。一方、登録される方も、 早めに準備を始めていただけば問題は生じません。まちがいに気がついても直す時間はありますし、共著者との打ち合わせもできるでしょう。コンピュータのトラブルがあっても慌てずにすみます。大事な発表や企画であればこそ、締め切り直前まで待たずに余裕をもって準備をしていただくことをお願いします。

日本生態学会の全国大会がますます充実したものとなりますよう、大会運営へのご理解とご協力をお願いします。


生態学会大会企画委員会・実行委員会