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「保全生態学研究」をともに育てよう

保全生態学研究 編集委員長 角野康郎
2011年4月1日

  本年(2011年)3月8日から12日まで行われた第58回日本生態学会大会(札幌)は2000人を超える参加者で盛会裡に終わりました。終盤の11日午後には、会場が長時間にわたって揺れ、阪神大震災を経験した私は、これはただならぬ地震だと直感しました。東日本太平洋沖で起きたM9.0という大地震でした。未だ被害の全貌は明らかになっていません。今大会は、2011年3月11日という日とともに長く記憶に残るものになるでしょう。
 さて、今大会では「保全」セッションでは、口頭発表が20件、ポスター発表が105件ありました。これに「外来種」、「生態系管理」、「景観生態」などのセッションを合わせると、保全に関する発表はその3倍以上になります。現在、日本で生態系や生物多様性の保全をめぐる研究や実践が、活発に行われていることを示しています。これらの中から、海外の国際誌に発表される優れた成果も生まれていることは喜ばしいことであり、今後とも日本の保全生態学研究が世界に発進されることを期待しています。
 一方で、保全の取り組みは現場を抱え、さまざまな情報がさまざまな人々に伝わることが重要です。その意味でも、和文誌である「保全生態学研究」の役割はますます大きくなっています。「保全生態学研究」の論文や報告が、市民活動家だけでなく行政やコンサルタントの方の実践の指針になっているケースも少なくありません。
 このような状況に対応すべく、保全生態学研究では基礎的な学術研究はもちろんのこと、日本の生物多様性の現状、保全の実践などの情報を幅広く共有できる場とするべく、さまざまなジャンルの原稿を掲載する方針です。環境教育やその実践の検証、政策提言やそれに資する資料など、社会科学的な内容も広くカバーしたいというのが希望です。
 若い皆さんが大学で行った修士論文の研究が、未発表のまま眠っていませんか。生態学会で発表した研究を、論文としてまとめませんか。保全生態学研究は日本生態学会の和文誌ですので、おのずから維持すべき水準があり、また一方的な意見表明などに対しては見識ある対応をしなければなりません。しかし、努力して得たデータを眠らせておくことは、日本の保全生態学研究全体にとっても損失です。ぜひ形にして後世に残して下さい。
 保全生態学研究では、原著論文だけでなく、調査報告、実践報告、保全情報、意見など、さまざまなカテゴリーの原稿を受け付けています。査読者のアドバイスによって、より正確で価値の高い原稿に仕上がる仕組みも整っています。
 皆さんの研究・調査の成果や、実践の記録を、ぜひ保全生態学研究誌に投稿していただくよう、あらためてお願いいたします。

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