シンポ一覧

「生態リスク」にどう向き合うのか?2:データ解析からリスク解析へ

企画者:林岳彦(国立環境研究所)

概要:一口に「生態リスク」と言っても、その「リスク」の意味する内容は対象生物や対象 のレベル(生態系・種・遺伝子レベルなど)によって大きく異なる。しかしながら、その対象生物や対象のレベルに関わらず、その生態リスクの定量化のための解析手法 自体には共有化できるものも多い。一般に、リスクの推定には不可避的に不確実性が 伴い、また意志決定の際にはリスク推定の不確実性の大きさを定量的に考慮した上で 対策を考える必要がある。そのため、「生態リスク」を取り扱う際にはしばしば仮説 検定やモデル選択などの通常のデータ解析のための手法とは異なるリスク解析のため の解析手法が必要とされる。本シンポジウムでは、生態学者にとって馴染み深い仮説検定やモデル選択などによる「データ解析」から一歩進み、予測と制御を目的とした「リスク解析/不確実性分析」を行っていくために有用なリスク解析手法について、幾つかの異なる分野における実践例を紹介し議論を行う。具体的には、モンテカルロシミュレーションによる不確実性分析、ベイズ法によるデータ解析と不確実性分析、データ同化、そして意志決定理論における不確実性の取り扱いについての講演を予定している。また、統計数理研究所から演者を招待しAIC以降の統計学の流れを背景に「良いモデルとは何か」について統計学の専門家の見地からのレビューを加えていただくことを計画している。