| 要旨トップ | 日本生態学会全国大会 ESJ55 講演要旨


一般講演(口頭発表) A1-05

農村環境変化による絶滅危惧植物個体群への影響評価―キキョウを指標として―

*吉田聡子(横浜国大・環),日鷹一雅(愛媛大・農),渡邉修(信州大・農),松田裕之(横浜国大・環)

中山間地域では、過疎高齢化、耕作放棄地の増加などにより農業・農村が衰退し、第3次生物多様性国家戦略では里地里山での管理減少による生物多様性の低下が指摘されている。これらの地域で農業の持続とともに生物多様性保全を考えていくためには、農業・農村の構造変化が生物へ及ぼす影響を定量的に評価することが必要である。

そこで本研究は、草地性植物であり植生遷移の進行が減少要因となっている絶滅危惧2類のキキョウを指標植物として選定し、2006年9月、広島県北部で野外調査を実施した。調査対象地内にある林縁、耕地の間のすそ刈り草地部分、及びため池堤において、キキョウの在・不在を確認し、位置情報をGPSにより記録した。次に、「2000年農業集落地図データ」からGISを用いて調査地点と農業集落の重ね合わせを行った。さらに該当集落の農地、農家に関する統計情報を農林業センサスより得た。キキョウの生育分布に影響を及ぼす因子を抽出するために,従属変数にキキョウの在・不在データ(集落単位)を、説明変数に集落の営農状態を示すと考えられる1970年と比較した耕地率、区画整理面積率、耕地率、耕作放棄率、農業従事者高齢者率を設定し、一般化線形回帰モデルを用いてモデル選択を行った。AICが最小であったモデルの説明変数は、1970年比耕地残存率(回帰係数;正)、区画整理面積率(回帰係数;負)であった。この結果からキキョウの生育に関して、農業による土地利用が、生育地維持としての側面をもつ一方で、区画整理のような大規模な改変により減少要因となっていることが考えられる。

日本生態学会