| 要旨トップ | 日本生態学会全国大会 ESJ55 講演要旨


一般講演(口頭発表) B1-03

海岸砂丘に生育するグンバイヒルガオもSkototropismの性質を有する?

古川昭雄(奈良女・共生センター)

熱帯から亜熱帯に分布するグンバイヒルガオは、遮蔽物がなく日射が極めて強い海岸砂丘に生育している。グンバイヒルガオのツルが土管の中に長く伸びているのを見つけた。当初,土管の中からツルが伸び出していると思ったが,ツルを引き出してみると,砂浜に親株があり,ツルを土管の中に伸ばしているのが分かった。さらに,種子を持ち帰り,別の研究のために栽培したところ,多くの個体が暗い方へツルを伸ばしている現象を発見した。ある種のツル植物は光の当たらない暗い場所へと伸長成長している(skototropism)現象は、熱帯のツル植物で一例が報告されている(Strong and Ray, 1975)。そこで、生育環境条件を4段階にセットできる十字型のチャンバーを自作し、光強度を4段階(強、中、弱、暗)にしてグンバイヒルガオの伸長成長を調べた。その結果、グンバイヒルガオの伸長成長は光強度が「弱」の方向に伸びる個体が最も多く、「強」に向かう個体は少なかった。以上の結果は、強光条件下で砂丘にツルを長く伸ばして生育するグンバイヒルガオにとって、蒸発速度の高い場所よりも蒸発速度を低く抑えられる暗い場所の方が生存に好都合なのではないかと推察した。現在、この推察を裏付けるための実験を行っている。

日本生態学会