| 要旨トップ | 日本生態学会全国大会 ESJ55 講演要旨


一般講演(口頭発表) B2-14

栽培管理の違いがスイートコーンの収量・虫害に及ぼす影響

*藤田正雄(自然農法セ・農試),藤山静雄(信大・理)

土壌動物群集を豊かにする栽培管理方法(耕起法、肥料の種類、緑肥間作の導入)の検討と、その管理の継続によって生じる土壌環境の変化と作物の収量の関係を検討して、「作物が健康に育つ環境」と「土壌動物が豊かに生活できる環境」とは矛盾しないことを明らかにしてきた。ここでは、スイートコーンの収量および子実の虫害に及ぼす変化について報告する。

<材料および方法>試験圃場は、1998年より、化学肥料を使用せず、有機質肥料で栽培した。2002年には2因子(耕起法、肥料の種類)で、03年からは緑肥間作の有無を加えて、3因子、2水準(100m2×8区)の試験設計(L8)で栽培を行っている。耕耘、施肥を4月に行い、5月にスイートコーンを播種、8月に収穫した。緑肥作物の播種は、03年は作物の播種前に、04年以降は播種後に行った。98年より農薬を使用せずに栽培している。

<結果および考察>雌穂重量は、不耕起処理は耕起処理の89-96%であった。有機質肥料処理は化学肥料処理の95-102%で推移し、06年と07年は100%を超えた。緑肥間作処理は無処理に比べて03年では98%であったが、04年から07年は101-105%と高くなった。アワノメイガ幼虫による子実の食害割合では、試験開始時にはほぼ100%の子実が食害された。しかし管理の継続によって、不耕起栽培処理、緑肥間作処理で食害が軽減し、06年、07年では全ての処理で食害が減少した(両年とも平均は18%)。不耕起栽培処理、緑肥間作処理では、土壌動物の生息密度が高くなった。全ての処理で食害が軽減された原因として、処理に影響されない抑制要因の比重が増加したことが考えられる。たとえば、1998年より農薬を使用していないことと、クモなどの天敵が多い処理区がモザイク状に配置されていることなどによる栽培環境の変化が影響しているのであろう。

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