| 要旨トップ | 日本生態学会全国大会 ESJ55 講演要旨


一般講演(口頭発表) C1-01

日本の中庸立地における温帯夏緑広葉樹林の植生体系について(予報)

鈴木伸一

日本の渓畔,痩せ尾根,岩角地を除く中庸立地の温帯生夏緑広葉樹林はブナクラスのササ−ブナオーダー,コナラ−ミズナラオーダーあるいはサワシバ−ミズナラオーダーにまとめられている.この植生体系は,これまでに各地から報告されてきたきわめて多くの植生調査資料を基に多大の時間と労力をかけて構築されてきたものである.しかし,これまで行われてきた森林群落の植生体系は,手書きのためより大きな組成表の作成が容易ではなかったためでもあるが,地域植生誌あるいはブナ林,ミズナラ林など特定の地域や同一種の優占群落を中心とした研究が多く,より広域の全国レベルあるいは異なる優占群落どうしの比較研究を基にしたものではない.全国をまとめた日本植生誌(宮脇編著,1980〜1989)でも地方ごとのまとめに留まり,より広域的な比較は行われていない.そのため,群団,群集など各オーダーの下位単位の一部に関しては,植生単位の名称をはじめ標徴種(種組成),分布などが報告書や研究者によって異なることがあり,群落分類を分かりにくくしている原因になってきた.パソコンの普及によってより多くのデータ比較が容易になった現在,植物社会学的な群落体系をより分かりやすく使いやすいものにするために,特定の地域や群落系統内での植生比較だけに留まらず,比較対象をより広い地域へ段階的に広げながら,更に異なる系統間での比較を進めてゆくことが必要である.ブナ林あるいはコナラ林だけの比較ではブナクラス全体を明らかにすることはできない.そこで本研究では,優占種の異なる夏緑広葉樹林の比較を試みた.北海道については未入力であるが,コナラ林,ミズナラ林およびイヌブナ林をそれぞれ全国レベルで体系化し、それらをブナ林の一部と一つの総合常在度表で比較し,検討を行った.本講演ではその結果明らかにされたオーダー以下の植生単位の種組成的特徴と分布について報告する.

日本生態学会