| 要旨トップ | 日本生態学会全国大会 ESJ55 講演要旨


一般講演(口頭発表) E2-11

マレーシア、ランビルヒルズ国立公園における小型鳥類2群の異なる果実選択

*鴨井環(愛媛大・農),Oswald Braken(Sarawak Forest Corporations), 百瀬邦泰(愛媛大・農),酒井章子(京大・生態研)

鳥の嘴の大きさや形態の多様性は餌資源の違いに起因するといわれている。さらに、鳥の採食可能な果実の大きさは嘴の幅によって制限されることがいわれており、鳥の嘴の大きさや形態がどのような果実を採食するのかを決めている可能性がある。近縁種だが、果実を含むさまざまな餌資源を利用する種の間でも嘴の変異が採食する果実によって説明できるのか?

熱帯林の林縁や二次林に多くみられ、よく似た嘴の幅をもつタイヨウチョウ科の鳥を材料に、それらの鳥がどの果実種を採食しているのかを調査した。タイヨウチョウ科の鳥は餌資源として、果実以外に花蜜や昆虫などを採食する。

調査方法として、(1)かすみ網を用いて捕獲した鳥から糞を採取し、その糞に含まれている種子の採取と同定を行い、(2)双眼鏡やセンサーカメラを用いて、結実木に採食に訪れる鳥の観察や撮影を行った。

採食していた果実種をもとにタイヨウチョウ科8種を多変量解析すると、オオバギ属(トウダイグサ科)の果実をよく食べるグループとオオバギ属以外の果実をよく食べるグループに大まかに2つに分かれ、オオバギ属の果実をよく採食している鳥は相対的に嘴の長い鳥だった。さらに、鳥の糞の内容物を調べると、嘴の長さが大きくなるほど、種子が排泄される割合が減少し、昆虫の残骸が排泄される割合が増加した。

日本生態学会