| 要旨トップ | 日本生態学会全国大会 ESJ55 講演要旨


一般講演(口頭発表) I2-15

新潟県南部の前期更新世の環境変化と植物の種多様性の変化

*百原 新(千葉大・園芸),植木岳雪(産総研),斎藤 毅(名城大)

第四紀前半の約260〜80万年前には北半球に大陸氷河が発達し,氷期・間氷期の気候変化が激しくなったが,この時代の環境変化が地域フロラの組成や種多様性に与えた影響を新潟県魚沼丘陵に分布する魚沼層群に含まれる約210万年前から80万年前の128の大型植物化石群を使って調べた.約140万年前から120万年前にかけて気候変化が激しくなり,中国南部に分布するシナサワグルミやメタセコイア,太平洋側に分布するヒメシャラ,ヒノキが消滅し,オオバタグルミがオニグルミへと形態変化した.樹木,低木・つる植物,草本に分けて出現種数と消滅種数の経時変化を見ることで,この時代のフロラの入れ替わりや化石群の種多様性の変化を調べた.その結果,樹木では10分類群がこの時期に消滅するが,同じ数の分類群が新に出現して入れ替わるため,多様性の変化は小さかった.低木・つる植物は消滅,出現ともに少なく,フロラの入れ替わりは見られなかった.これらに対して,草本は約210万年前には多様性が低く,時代の経過とともに出現種数が増えた.約160万年前から140万年前にかけて草本の出現種数の増加は一旦頭打ちになるが,約140万年前以降に再び増加した.各化石群で化石100個あたりの分類群数をrarefactionによって計算すると,約140万年前以前は31分類群を越える化石群はほとんどないが,約140万年前以降は半分近くの化石群で31〜38分類群と化石群の種多様性が高くなった.化石群構成種に占める草本種数の割合や,明るい場所を好む種数の割合が時代とともに高くなるので,多様性の増加の要因として攪乱の規模や頻度が高くなったことが考えられる.それに加え,気候変化が激しくなったことで,植物の移入と残存がおこりやすくなったと考えられる.

日本生態学会