| 要旨トップ | 日本生態学会全国大会 ESJ55 講演要旨


一般講演(ポスター発表) P1-043

森林の被陰関係ネットワークとその構造

*近藤健太,近藤倫生(龍大・理工)

森林には、高木層、低木層、草本層などといった不連続な垂直構造があると考えられてきた。しかし、現実の森林生態系において、これらの階層を区別することは難しく、樹冠による景観が階層構造の主な判断材料とされてきた。森林の階層構造を定量的に解析する手法も提案されてきたが、これらの手法は樹木のサイズや頻度などを用いているのみで、個体同士の位置関係を考慮にいれていない。そのため、森林全体の構造を特徴づけることはできても、植物群集や個体群における種間あるいは個体間の相互作用が見出せない。本研究では植物個体間の光資源の獲得に関する相互作用(被陰関係)に着目し、森林における樹木個体間の被陰関係のネットワーク構造を定量的に評価するための手法を提案することを目的とした。

具体的な森林を例にとり、個々の植物の樹冠の位置関係をもとに被陰関係ネットワークを構築し、樹木個体間にどのような相互関係が成立しているかを解析した。さらに、樹木の高さ、樹冠を同じにして、樹木をランダムに配置した場合(帰無モデル)の解析もおこなった。これら現実の森林におけるネットワークとランダマイズした森林のネットワーク構造を比較することで、被陰関係ネットワークにおけるパターンの検出を試みた。この結果をもとに、森林における個体群や群集の構造を特徴付け、その成立要因を議論する。

日本生態学会