| 要旨トップ | 日本生態学会全国大会 ESJ55 講演要旨


一般講演(ポスター発表) P1-085

モンゴル国草原地帯に分布する潅木の成長量と被食量の分布パターン

*山田義裕(岡大・環境学),高山晴夫(鹿島技術研究所),ジャムスラン・ウンダルマ(モンゴル農大),廣部宗(岡大・環境学),坂本圭児(岡大・環境学),吉川賢(岡大・環境学)

北米や南米などの草原地帯では、過放牧などによる植生の劣化過程に潅木の侵入が見られることが知られており、モンゴルでも近年家畜頭数の増加や都市近郊への遊牧世帯の集中により、過放牧が懸念されている。しかしモンゴルなどのユーラシア大陸中部のステップ地帯では過放牧によって潅木の侵入や拡大が起きるのかは知られていない。

この研究では、モンゴルの草原地帯で代表的な潅木であるCaragana microphyllaを対象に、2006年と2007年にパッチサイズの変化を追跡した。2006年は夏の雨が多かったのに対し、2007年は雨が少なく、特に成長期である5月から7月にかけての降雨が少なかった。

2006年は、夏の間に樹冠が拡大し、冬の間に縮小した。これに対し2007年は2006年に比べて夏の間の樹冠の拡大量が小さく、縮小したパッチもあった。しかし柵内では樹冠の拡大・樹高の伸長は柵外よりも大きく、縮小したパッチはなかった。このことから、柵外での成長量の減少は食害の影響と考えられる。

2006年から2007年にかけての冬の間の食害量は、2006年の成長量と相関があった。特に樹高については、ほぼ全てのパッチで食害量は成長量よりも少なく、食害のほとんどは前年に成長した当年枝部分に収まっていると考えられた。

日本生態学会