| 要旨トップ | 日本生態学会全国大会 ESJ55 講演要旨


一般講演(ポスター発表) P1-201

トゲオオハリアリにおける産卵後worker policing

*下地博之(琉球大・農), Alexandra SEBASTIEN(Universite de Paris 6), 佐々木智基(琉球大 農), 辻和希(琉球大 農)

多くの社会性膜翅目昆虫において女王が産卵を独占するが、ワーカーも卵巣を保持し産卵能力を持ち、オスになる未受精卵を産むことができる。この状況下では、オス卵産卵をめぐるコロニー内対立が潜在的に存在することが理論的に予測されている。この対立を解消する仕組みの一つとしてワーカー同士が互いの産卵を妨害するworker policingが考えられている。worker policing理論では、女王一回交尾で単女王制の種(血縁度が高い社会)ではworker policingが起こりにくいとされてきた。しかし、実際には単女王制・女王一回交尾の種でもworker policingが観察されることが多く、理論的にもワーカー産卵のコストなどの血縁度以外の要因を考える必要が指摘されている。

トゲオオハリアリは単女王制・女王一回交尾の種であるが、実験的にワーカー産卵を誘導したコロニーでは産卵可能なワーカーを他のワーカーが攻撃する行動や、産卵中のワーカーから他のワーカーが卵を奪って破壊する行動が観察されており、本種でも潜在的にworker policingが存在することが示されている。

本研究ではトゲオオハリアリを用いて、ワーカーが卵の持つ情報のみで女王(gamergate)卵とワーカー卵を識別できる(卵だけでもworker policingが起こる)かどうか調べた。また、worker policingの進化要因の新仮説(繁殖スケジュール説;Ohtsuki and Tsuji in review) を検証するため、コロニーサイズの変化でworker policingの強度に変化が見られるのかも調べた。

日本生態学会