| 要旨トップ | 日本生態学会全国大会 ESJ55 講演要旨


一般講演(ポスター発表) P1-208

イモゾウムシの幼虫期の飼育条件が交尾行動に与える影響

*熊野了州・原口大(沖縄病害虫防除セ),小濱継雄(沖縄農研セ)

放射線照射による昆虫の不妊化は、精子競争における精子優先度の測定(P2値)や不妊虫放飼法を用いた害虫の根絶など、利用の範囲は幅広くきわめて有用な技術である。不妊化に不可欠な放射線照射は精細胞だけではなく体細胞にもダメージを与える。そのため、不妊虫の寿命は正常虫に比べて短くなるだけではなく、運動能力や交尾能力も経時的に低下する。また、不妊オスは射精量や射精と同時にメスに送り込まれる付属腺物質量が正常虫に比べて少なくなることがあることが近年知られるようになった。これらの証拠は、不妊化の影響は不妊虫の行動だけではなく、交尾後の精子競争にも影響を及ぼす可能性があることを示している。過去の研究のほとんどは、照射後の一時的な精子競争能力について明らかにしたもので、不妊化が精子競争に及ぼす経時的変化はほとんど注目されたことがない。本研究では、現在沖縄県で不妊虫放飼法を用いて根絶事業が行われているイモゾウムシを用い、不妊化が交尾行動と精子競争に与える影響を経時的に調査し、不妊化が繁殖に与える影響を包括的に考察する。

日本生態学会