| 要旨トップ | 日本生態学会全国大会 ESJ55 講演要旨


一般講演(ポスター発表) P1-269

京都学園大学「かめおか団栗団」による生物相調査からみえたこと ー2年間のまとめと展望

*今村彰生,岡本奈保子,河田裕輝,黒石麻央,下田奈美子,篠原弘嗣,高橋藍子,村山沙穂,大西信弘 京都学園大バイオ環境

「団栗団」は京都学園大学バイオ環境学部の学生をメンバーとして、2006年7月より月1回ずつのフィールドワークとセミナーを通じて、亀岡盆地を中心に生物相調査を行い、データベース化に取り組んでいる。

対象分類群を限定しない、地域の生物の総合的基礎調査であり、類例は多くない。維管束植物や昆虫などは、標本を作成し保管している。こうした基礎データは、地域の自然環境保全や農業環境の評価のためには必要不可欠な情報である。

同時に学生への環境教育として、教育課程の中では扱われていない、地域の生物相のデータベース化を通じて、フィールドワークをこなす能力を養い、「自然」と向き合いながら問題点を抽出し調査の計画を立てる能力を磨き、既知の情報との比較検討を行う習慣づけを行う、などの効果が上がっている。

主にロードセンサス法を用いて、京都学園大学近傍の竜ヶ尾山の二次林、大学敷地内の二次林、大学周辺の農地や休耕田、保津川(大堰川)周辺の二次林などを調査した。2008年1月現在で720種以上(真菌119種、鳥37種、クモ形綱76種、地衣24種を含む)を記録した。

なかでも「生産者」である植物を重要な環境指標として位置づけて取り組んだ結果、全生物での記録約720種のうち374種を維管束植物が占めている。今回は、京都学園大学周辺を中心とする地域の植物相に重点を置き、特徴を概観したうえで分類群およびハビタット(または調査サイト)ごとの出現傾向について報告する。

現在は定量データを扱っておらず、リストや標本、フェノロジーに関するデータが主たる成果である。今後は地理情報化(視覚化)を視野に入れて継続する。取り組むべき課題や、データベースの有効な活用方法、とくに地域での有効な利用について議論する。

日本生態学会